サブ武器を持とう 後編(魔改造はロマン)
「親父が言う『木の盾』と『鉄のナイフ』、どっちを改造するの?」
「そうだな・・・・・・正直、『木の盾』は人気ないんだよな」
「盾人気ないの? 話だけ聞いてれば攻撃も防御もできて便利そうなのに」
「うーん、敵を通さないのが役割の前衛がいる大型パーティの冒険者たちなら盾もいるんだよ。ただ駆け出し冒険者は基本1人で行動するから盾で防ぐよりかわしたりする方が楽なんだよ」
魔物の攻撃は強力だ。
鍛え上げた肉体を持つベテラン冒険者なら盾を使って受け止めて、後ろのパーティに攻撃してもらう戦法も使える。
だが、後ろに味方が誰もいない1人の駆け出し冒険者なら状況は変わる。
かわしても何も問題ないし、受け止めきれず魔物に覆いかぶされれる場合だってある。
冒険者ギルドでも駆け出し冒険者にはまず、かわす訓練から始めさせている。
盾は本当に緊急的に攻撃を防がなければいけない時か、タックルしながら退路を確保する時の武器、というのが冒険者の間での共通認識だ。
「退路を確保するのには使えるがそれ以外ではあまり使わない、それが『木の盾』使い方だ」
「そうなんだ。じゃあどうするの? ナイフだけで売る?」
「そうじゃなくてな、こう2つを組み合わせれないかと思ってな」
そう言いながら、俺は『木の盾』を持つ。
今持っている『木の盾』は肘から手の先を守る円形タイプ。
その内側を少し削り、『鉄のナイフ』を仕込めるようにする。
「こうすれば『木の盾』で攻撃を防ぎながら、『鉄のナイフ』で攻撃できるようになるだろ」
「おお、それでいいじゃん! それを量産して売ろうよ、親父」
「まあサブ武器は予算に余裕がある人しか買わないからな、そこまで量産する気はない。そこそこ値段もする品になるしな」
試しに『木の盾』を前に構えながら『鉄のナイフ』を抜いてみたり、納刀した状態で背負ってみたりする。
両手がふさがるから普段の武器を使いながら使うことはできないだろうが、武器がなくなった時の代用品としては使えるだろう。
「『木の盾』の大きさは注文時に聞いてオーダーメイドにした方がよさそうだな」
「自分専用の武器、ロマンがあるな。親父」
「大きな『木の盾』に長剣仕込んで欲しいってオーダーがあったら、お前を仕込もうかな」
「嫌だあぁ! ただでさえ安いのにセット商品になるのは嫌だぁ!!」
まあ冗談は置いておいておこう。
聖剣サマを『木の盾』に仕込んだらその切れ味で『木の盾』どころか、構えてる腕までスパっといきそうだ。
「それじゃあ名前をどうするか。オーダーメイド、仕込み、『鉄のナイフ』、『木の盾』」
「全部まとめると『仕込み鉄のナイフ付木の盾オーダーメイド対応』になるね、親父」
「それ、いいな。採用」
「はい?」
【新商品『仕込み鉄のナイフ付木の盾オーダーメイド対応』を作成した】
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