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10ゴールドの聖剣  作者: 喜助伊洋
12/20

トレーニング (店主の日課)

 ・・・・・・98、99,100!

 店の庭で日課の素振り100回を終えて、汗を拭う。


「ハァ、ハァ。いい汗かいたぜ」

「親父? まだ課題は残ってるんだけど? やり切った感出さないで欲しいだけど」

「わかったけどよ、一息くらいつかせてくれ」


 現役時代の勘はどうしても維持できないが、体くらいは引き締めておきたいと思って続けている日課のトレーニング。

 今日もコーチ役の聖剣サマから指導の声が飛ぶ。


「あと、ランニングと筋トレ、イメージトレーニング。頑張ってくれよな」

「了解、今日はそれくらいでいいかな?」

「何言ってんだよ、親父! 一番重要な課題があるじゃんか」

「あー、やっぱり今回もやるのか?」

「当たり前じゃん! 今日も自分を使ってイメージトレーニングしてもらうぜ!!」


 そう、この聖剣サマがコーチ役を引き受けている理由。

 それはトレーニングの最後に行う、聖剣サマを使ったイメージトレーニングである。

 もともとイメージトレーニングは、対魔物を想定して仮想の敵と戦っていた。

 イメージの中の魔物を実際に剣を振って、斬るイメージをつかむというものだった。

 そのイメージトレーニングの1回目を眺めていた聖剣サマが、

「自分を使ってみない?」と言い始めたのが始まり。

 そこからは武器として、戦うイメージで使ってもらうことが嬉しかったらしく、コーチ役としてトレーニング内容を調整して必ず自分(聖剣サマ)を使ったイメージトレーニングを取り入れるようになった。

 まあ、トレーニングの内容も意外にもしっかりしており、聖剣サマを使ったイメージトレーニングもかなり良い訓練になるので問題はなかった。


「ふう、イメージトレーニング完了! あとは」

「待ってたぜ、親父。次の自分を使ってのイメージトレーニングで終わりだぜ」

「おう、よろしく頼むぜ」


 さっきまでイメージトレーニングで使っていた普通の鉄の剣(自家製)を片付ける。

 そして聖剣サマを手に取る。

 その瞬間、さっきまで疲れていた自分の体に活力がみなぎるのを感じる。

 乱れかけていた呼吸は落ち着き、思考もクリアになりイメージも鮮明になる。


「始めるぜ親父! 今回の魔物は赤猪(あかいのしし)だ!」

赤猪(あかいのしし)か、了解した。それじゃ、いくぜ」


 片目だけを閉じ、瞼の裏に魔物、赤猪(あかいのしし)をイメージする。

 赤猪(あかいのしし)は全長3メートルから大きいもので5メートルほどになる、イノシシ型のB級魔物である。

 突進力が高い、正面から挑むのは危険な魔物だ。

 徐々にハッキリしていくイメージを開いている目の視界にも映していく。

 そして閉じていた目をゆっくりと開けるころには、店の庭にイメージでの赤猪(あかいのしし)が出てきていた。

 イメージの赤猪(あかいのしし)が突進してきたので、俺は聖剣サマを構えながらすり足で横にかわす。


 俺の戦い方は東方の体術が元になっている。

 なのですり足や受け身といった道場戦法が癖となり、平地以外では戦いにくい。

 俺もそこを自覚しているので、あえて平地でのトレーニングだけを行っている。

 正直、平地以外で戦うことになったら負けだと思っているからだ。


「他の事考えてる暇はないぜ親父! 赤猪(あかいのしし)がもう一回突撃してきたぜ!!」

「-ッ!!」


 聖剣サマからの新しいイメージを聞き思考を戦闘に戻す。

 俺のイメージは当然だが、俺の想定内の行動しかしない。

 なので、時折聖剣サマが予想外の行動を呼びかけてくる。

 聖剣サマは握ってる所有者の考えが分かるらしい。

 俺のイメージしている光景も見えるらしく、そこから俺が予想してなかった行動を呼びかけて、イメージしてる魔物の動きを不規則なものにする。

 このやり方を見つけてから、より実践的かつ効果的な訓練として協力してもらってる。


「跳ぶぞ!!」

「了解!」


 聖剣サマのおかげで、向上した身体能力を使い斜め前にジャンプする。

 ちょうど赤猪(あかいのしし)(イメージだが)の上を掠めるように。

 そして空中で赤猪(あかいのしし)を横に両断するべく聖剣サマを、振るう!!

 その剣はイメージの赤猪(あかいのしし)を切り裂き、絶命させた。


「流石親父、完璧だぜ・・・」


 聖剣サマの誉め言葉に、頬が緩くなり笑って答えた。




「まさか、受け身を忘れて頭から落下するのは俺自身予想外だったわ」

「親父、誉め言葉返して?」

今回はここまでです

読んでくださった方々、ありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回は初めて、イメージとはいえ戦闘シーンが入りましたね! 赤猪及び主人公がどんな動きをしているのかをしっかり描写して下さっているので読みながら頭の中で想像することが出来ました! オチも…
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