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教えてっ、服とか下着ってどうすればいい? 2

「な〜つ〜!」


 俺はノーブラのEカップを存分に揺らしながら夏の元へと戻る。


「ん、おかえりハル。で、どうだった?」


「えーっとね、確か89、60、85でバストはEの70だったぞ」


「はぁっ!? あんたEもあんの!? あたしよりも大きいじゃない! なんで!?」


「なんでって聞かれても、さぁ?としか……。あっ、身長が縮んだぶんがおっぱいにいったのかな」


「女子が人前でおっぱいっていうな! 胸って言え胸って!」


「プププー、俺にカップ負けてるからってそう感情的になるなって。大丈夫、女の価値はおっぱいにあらず!」


「きーっ! こいつほんとにムカつく!」


 夏が怒ったように……っていうか実際に怒っている。


 これ以上は身の危険を感じたので、まずは宥めることから始めるとするか。


「そんなにかっかせずにさ、ほら落ち着けよ?俺以下とはいえ世間的には十分可愛いの部類に入る夏がしかめっ面になると不細工に見えてもったいないゾ!」


 俺渾身の慰めだ。これなら夏でも許してくれ──ってあれ?


 な、夏さーん? なんで俺の顔を手でつかんでんのかな? それじゃあまるでアイアンクr──


「あだだだだだだ!」


「ふふふ、あんたってばおかしいわね。そんなのが慰めになると思ってるの? それはね、煽りっていうのよっ!!」


 いっ痛い! 頭が割れそうだ! く、くそ夏め、この美少女フェイスをなんのためらいもなく握りつぶして来ようとするなんて……鬼畜ッ!


「なーに考えてるのかしらー?」


「いででででで!」


 あれ俺今口に出していってないよねなんでわかったのあぁ今それどころじゃないわ頭がみちみちいってるそろそろ砕けるんじゃないかこれあー我がTS道ここに潰えたりぃ……。


「ふんっ、今回はこれぐらいで許してあげるけど次やったら承知しないからね」


「は、はひ……すみましぇんでした……」


 解放された顔を両手で覆ってしゃがみこむ。


 危なかった……もうちょっとで俺自慢のフェイスが握りつぶされた菓子パンみたいになるところだった……。


「ほら、呆けてないでさっさと選びに行くわよ」


「くっ、誰のせいだと……」


「なんかいった?」


「イエナニモ」


 くっ、調子に乗りやがって。いつか絶対に仕返ししてやるからな……覚悟しとけよゴリラおn──ごめんなさいなんでもないので睨まないでください。


 しょうがないので立ち上がって夏に追随する。


「んー、普通に選んでも面白くないわね……。そうだ、今から二手に分かれてそれぞれ五着ずつ下着を選びましょう」


「……なんで俺の下着選びに面白さを求めてるわけ?」


「あんたの下着だからよ」


「意味がわからない」


 俺の下着選びにはユーモアが必要なのか?


「ま、いいじゃない。最終的に買うのは五着ね」


「ちょっと多くないか?」


「何いってるのよ。洗濯したりしないといけないでしょ? ほんとならもうちょっと増やしてもいいんだけど……お金がないからね」


 その言い方だとまるで俺が貧乏人のようじゃないか。違いないけど。


「それじゃあ始めわよ。制限時間は十分。集合場所は試着室前。ではスタート!」


 ノリノリの夏があっという間に下着の海へと潜っていって、ついには見えなくなった。


「はぁ、俺も選ぶか」


 ちゃんとしてて可愛いタイプの下着は夏が選んでくれてることだろう。


 ならば、俺が買うべきはスェクシィーでウァダルティなモノ──いわゆるところの勝負下着というやつだな。


 ……勝負下着を買ったとしても見せる相手がいないのでは意味がないんじゃね?


 むぅ、そう考えると俺の恋愛対象は男なのか女なのかわからないな。


 ま、それはおいおい考えていくとして、今は下着のことに集中しないとな。


 お店の中を歩き回っていると、ちょうどいい感じのコーナーを見つけることができた。


「ほぅ。これはなかなか……。こっちもいいな……」


 どうせ買わないので値段度外視の見た目重視で選んでカゴの中へといれていく。


 五着選び終わった時には結構時間が経っていたようで、残すところあと二分だった。


 夏は遅れるとうるさいので早めに試着室前に行くも、まだ終わっていないようだ。


 カゴの中身を見られると面白くないので、先に空いている試着室の中にカゴごといれてカーテンを閉めて隠しておく。


 夏が来たのは俺が試着室に来てからおよそ三分ほど経ってからだった。


「遅刻だぞ、夏」


「ごめんごめん。いやー、途中でいい感じのやつ見つけちゃってさぁ……」


「言い訳無用」


「むぅ、細かい男はモテないぞ?」


「別にモテなくてもいい。それに今の俺は男じゃなくて女だ」


「ふん、そういうところが細かいっていってんの。とりあえず試着して来なさい。試着室前にいるからわからなかったら聞きに来なさい」


「ほーい」


 俺はあらかじめカゴを隠しておいた試着室にはいりカーテンを閉めて鍵をかける。


 試着室に鍵なんてあるんだな。初めて知ったぞ。


 そんなことはおいといて、早速下着を着て行こう。


 服を全部脱ぎ捨ててハンガーにかける。


 それじゃあ先ずは…… こいつにするか。


 見るからに高そうな黒いレース付きの下着。


 腕を通してからホックを後ろで……後ろで止められない!


 やっとの思いでつけれたけど……なんだか違和感があるぞ。ブラが胸にフィットしてない感じがする。


 ブラのサイズはっと……あってるな。何が問題だ?


 一人で悩んどても仕方ない。ここはひとつ、夏先輩のお手並み拝見といこうじゃないか。


 俺はカーテンから顔だけ出して夏に話しかける。


「夏ー。たーすーけーてー」


「んー? どうしたの?」


「ブラが胸にフィットしてないんだよ。ちゃんとサイズもあってるし、何が問題なのかわからん」


「あー、わかったわ。あんた寄せてないでしょ」


「寄せる?」


「そ。一旦外して前かがみになりながら付け直して見なさい。そうすればいい感じになるはずよ」


「ん、ありがと」


 くっ、またホックを止め直さなければいけないというのか……っ!


 四苦八苦してなんとかつけ直せた。


 おぉ……なんというか、凄いな。


 鏡には俺の豊満な肉体を包む黒の下着たちが写っている。


「銀髪に黒の下着……映えるな」


 なんというか、すごいえっちぃ感じがするぞ。


 いい感じでつけれたので夏を呼んで判定してもらうことに。


 ぷくくく、ここで一つ仕掛けてやるとするか。


 夏がカーテンから頭だけをいれてくる前に、腰ほどまである銀髪を片耳にかけて、左手を腰に当てて右手の人差し指を唇に当てる。


 その状態のままお辞儀の途中斜め四十五度で止まりウィンクをかます。


 『食べちゃうぞっ、妖艶な姉のポーズ No.3』の完成だ。


 黒色のアダルティな下着と相まって破壊力が増加している。


 俺が男だった時にこんな人がいたらエンカウントした瞬間に襲ってしまう自信があるくらいだ。


 今回はそれを夏に、しかも至近距離でブッパしてやるのだ!


 ふはははは、今度こそ我が必殺ポージングの餌食となるがいい!


 ピョコッと顔を出した夏にポーズを維持したまま一言。


「どう?」



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