9 告白からの絶叫。
信じられないわよね……。
そう、彼女の瞳が下を向く。私を心配してくれているのだ。あのゲームの事を覚えていて、それでもなお現在の私を信じてくれている。
「信じるわよ。」
そう返せば見開かれる赤い瞳。やはりルドレーラの瞳は綺麗だ。
「なんで?なんで信じてくれるの??」
なぜ信じるのか、って?そりゃあ……
「私も前世覚えているんだもの。普通に日本人だったのよ?このゲームは未プレイなんだけどね。それでも、私が悪役令嬢で断罪されることくらい知ってる。」
先程もかなり見開かれていた瞳が、より開かれる。
限界突破しちゃってない?大丈夫??
「……日本人?仲間………?」
「そ!まさかルドレーラも転生者だったなんてね!!私1人だと思ってたからすっごく嬉しい!」
本当にそうだ。なにせ、未プレイゲーム。ある程度のストーリー構成しか分からない。知らぬ間に地雷踏み抜いてるかもしれない。
……というか確実に踏み抜く。
「えぇぇぇぇ!?!?」
静かな庭園にルドレーラの絶叫が響き渡る。
少し遠くにいた専属の庭師がギョッとしてこちらを振り返ったので、大丈夫だと伝える。
「あんた!!なんで今まで言わないのよ!!!」
「いやいやいや、普通言えないでしょ。」
「私は言ったじゃない!!」
「よく頑張ったわね〜。偉い偉い!」
優雅にお茶を飲みながらルドレーラの頭を撫でる。
だって普通、そんなこと言えないだろう。精神病院行き決定だ。
断罪される前に幸せが逃げていく……。