2話
(真っ暗闇だ……)
意識はハッキリしたが、真っ暗で何も見えない。
(寒っ!体が濡れてる!?)
猛烈な寒気を感じる、それによって物凄く泣き叫びたい気分になった。
何故か感情の起伏がいつもと違う。
(更年期障害……?)
そう思っていると、背中にとてつもない衝撃を感じた。
まるで鞭で打たれたような激痛だ。
(痛てぇッッ!!なんだッッ!?)
背骨全部折られるレベルの痛さが俺を襲ってくる。
泣き叫びそうだが、必死で耐える。
だが、耐えたのも束の間、もう一撃襲ってきた。
(痛ッッ!!!殺す気かッッッ!!!)
「フギャ ァァ!!」
(赤ん坊…!?)
経験したことのない激痛に、耳元から聞こえる赤ん坊の泣き声。
俺は声を発せれない、しかも視界が取れない。
ここまで摩訶不思議な状況も初めてだ。
(廃人になりそうだ……)
意識が遠退いた。
ーーーー再び目が覚めると、俺の目の前に巨大な乳首が見える。
(幻覚……?頭が可笑しくなっちゃったのか?)
「可愛い顔してるわね」
「あの人と私の子供よ?」
声が響くと、巨大な乳首がブルルンと揺れる。
(何カップだこれ……)
そんなことを思っていると、巨人が俺の顔を覗き混んできた。
(馬鹿デカい乳首が動いたと思ったら、馬鹿デカい顔した化け物が俺の前に現れた…誰か助けてくれ)
さっきより視界がクリアだが、よりパニックになりそうだ。
俺はどうなっちまったんだ?巨人の餌になるのか?
(ちょっと待て、こいつら会話してるのか…)
「こらこら、怯えてるじゃない」
「あら?私の顔ってそんなに怖いかしら?」
「キリッとしすぎなのよ」
「褒め言葉として受け取っておくわね」
(なるほど、こいつらは仲良しなんだな?)
巨人の女子トークを聞き、状況を推測していく。
(つまり…こいつらは巨人のメスで、俺は餌…食べる前に俺をおちょくって楽しんでるわけか…)
(……となると俺はこのあと食われるわけかッ!!)
「ホンギャアアアアアアッ!!」
(すぐ近くで聞こえるのに赤ん坊の姿が見当たらねえ……ホラーじゃねえか……)
またしても赤ん坊の泣き声が頭に響く。
パニックで気が狂いそうだ。
「また泣き出しちゃったわ…」
「マズラが怖がらせるからよ」
「あなたがどうにかしなさいよ」
「怖くないよぉ、よしよし」
(………こいつ、出来る!!…撫でて安心感を与えるとは……俺の肉質がどんどん柔らかくなる……)
それにしても安心感が凄い、マイマザーの包容力と良い勝負だ。
「……泣き止んだわね」
「やっぱりお母さんが良いですよねー?」
(母さん元気かなぁ…やっぱりお母さんが良いよなぁ…)
「どうしたのー?お母さんでちゅよー?」
(めっちゃこっち見ながら言うなぁ……怖っ……)
(俺はどういう状況なんだ……?)
ゆっくりと視線を落とすと、そこには小さな手があった。




