表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

エミグレ、レアクシオン

面ノ介は初めて、自分が今までイケメンであることによってどれだけの恩恵を受けてきたのか理解した。女性に暴力を振るわれるのも罵声を浴びせられるのも全て始めての経験だった。


「もちろん、あなたの境遇にはすごく同情するわ。ハワイで海水浴をしていたら、いきなり北極洋上にテレポートさせられたようなものでしょうからね。とりあえずこのマスクをつけなさい。少しはマシになるでしょう。」


美絵はアトリエの奥からマスクを取り出してきた。石膏で作られているようだ。正直変なマスクだった。こういっちゃ何だが下手すぎ。もうちょっとかっこいいのないの?えええ美絵さん、ちょっと、そんな強引に、いやああああ!


ボコッ!


「キモい声だしてんじゃねえぞ。」


すいません。


「それで僕はどうすればいいんでしょうか?」

「そうねえ、もとに姿に戻るにはワクチンが必要なのよ。開発のための資金と仲間を集めるのを手伝ってほしい、ってところね。」

「ワクチンの開発?そんなの製薬会社とかに任せておけばいいじゃん。それに君みたいな女子高生ができるの?」

「普通なら、ね。でも今は事情が違うの。RV793は感染者の外見だけじゃない、その意識まで変えてしまうの。感染したことに気付かない、感染によって生じた自分の変化にも他人の変化にも気付かない。」

「え、じゃあみんなこの異変に全く気づいていないの?」

「ええ、だから製薬会社も医者も、国も警察も全く頼りにならないわ。」

「でも、じゃあ…」

「そう、おかしいわよね。少なくとも私とあなたはちゃんと変化に気付いている。肉体の変化が絶対的なのに対して、意識の支配には個人差があるのよ。ごく少数の人々はRV793によって意識を全く書き換えられていない。それがエミグレ。」

「エミグレ…」

「そう、エミグレ。あなたには主にエミグレの捜索と救助に当たってもらうわ。そして、このベース・レアクシオンに連れて帰ってきてほしい。」


突っ込みたいことは山ほどあった。ある日イケメンとブサメンが唐突に入れ替わった?ウイルスが精神まで支配している?女子高生がワクチンの開発?大体なんだベース・レアクシオンって。完全に中二病のセンスじゃないか。やっぱりこの女ちょっと頭がおかしいところがあるんじゃ…


ん?そういえば一個引っ掛かる点があるぞ?美絵さんって何というか結構イケてるよな?今こういう姿ってことはまさか元々は結構なおぶす…


ドカッ!


「いい忘れてたけど、女性はRV793で外見の変化を受けないの。精神支配は受けるけどね。」


はい。ごめんなさい。もしかして読心されてるの、僕?


「それと、結構急いだ方がいいわよ?エミグレであるあなたは確かにRV793に感染しているのにも関わらず記憶を保っているわ。でも、精神支配の影響を徐々に受け始めているのも事実よ。その証拠にあなた、最初にあったときより、大分口調がブサメン化しているんじゃない?このままいくと記憶もどうなるか分からないわよ。」


え、まじで?そういえば確かに最初の方はもっと地の文もクール系だったような。こんな気持ち悪いツッコミとかも入れてなかったような。ブヒヒ。あれ変な声が出てくるぞー。


よーし、早くエミグレを捜すぞー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ