説明
「ベース・レアクシオンだって…!ぷっ、ははは!いったい何なんだそれ?君が考えたのか?」
面ノ介は緊張の糸がすっかり切れていた。どうやらこの少女、少し頭がおかしいらしい。先ほど少しだけ抱いた少女に対する恐怖もどうやら徒労にすぎなかったようだ。はてさて早く医者かどこかに行ってこの体を治して…
バコッ!ドコッ!バキッ!
次の瞬間、面ノ介は少女にキャンバスでタコ殴りにされていた。え、痛い、やめて?僕怪我人だよ?痛い!痛い!やめて!暴力イクナイ!ごめんなさい!ごめんなさい!
「急に何するんだ!僕は最初から怪我でボロボロだったんだぞ!」
少女の攻撃が終わるとすぐに壁際まで逃げて涙目になりながらも抗議した。
「やっぱり″イケメン力″も一緒に減衰しているわね…」
「イケメン力!?」
「とすると、こっち側のエミグレたちは揃いも揃って役立たずばかりか…」
「て、おーい。あのー。無視しないでくださーい。」
「結界があるとはいえ、もうちょっと別の戦力を取り込まないとここももたないわね…」
「もしもしー。僕ここにいるよー。分かるー?僕のこと見えるー?」
「うるさい、いかれポンチ!」
バシーン!と強烈な平手を喰らった。痛い。本当何で僕がこんな目に…
「ごめんなさいね。その姿見てるとついムカついちゃって…でもこれから順を追って説明するから静かに聞いててね。」
謝るなら最初から叩くな。まあ、でも待ってました、僕が欲しかったのはこれだよこれ。原稿用紙一枚分ぐらいの簡潔な説明を求めますよ。はいどうぞどうぞ!
「どこから説明すればいいかしら…そうね、あなたは、いや、世界中のすべての人々が最近発見された新種のウイルスに今朝一斉感染したの。ウイルスの名前はRV793。DNA領域に侵入し、個体の形質情報を一定の規則に従って変化させる。そして新陳代謝を加速させて個体の外観を一気に変貌させる。」
そこで少女は息を飲み間を置いた。何か難しいこと言ってるー。よくわからんぞー。
「…簡単に言うと、イケメンとブサメンをひっくり返すウイルスよ。」