初稽古(前半)
気がつけばPV1000越え…
皆様本当にありがとうございます。
ステータスを調べた次の日、俺は城の中庭で稽古を受けていた。
あの親父の奴、本気で俺とアルフの特訓をするつもりらしい。
今アルフは母親から魔法の勉強を教えてもらっている。
ステータスが魔法特化なのだ。本人が望む望まないに関わらずそちらの特訓を優先されるだろう。まぁ本人は嫌がる素振りも見せずにやる気満々なんだがな。
一方俺は一つ目の大鬼のランデルさんに手ほどきを受けている。
ランデルさんは昔親父達と一緒にパーティーを組んで冒険をした戦士らしい。
俗に言うゴリマッチョというような身体で身長は2m程。胴にはいくつもの傷が付いている。
黒色でちょんまげみたいな髪と『数年洞穴で生活してました』的な服装のせいで威圧感がすごい。
だが実際話してみると酒好きのただのおっちゃんだった。
「そうだ。剣を振る時は脇をしめて片方の足を同時に前に踏み出せ。
そうすれば鋭い一太刀を浴びせられる。」
と腕を組んで「うん。うん。」と頷きながら剣の指導をしてくるのだが、実に解りやすい。前世の学校で剣道を学んでいたからなのだろうか、はたまた創造神から貰ったチートのおかげなのかは判らないが、すんなりと頭に入ってくるし、実践もできるのだ。
なんて考えていると昼になったようで、メイドさんがサンドイッチを持ってきてくれた。
「よし、午前中はこれで終わりにしよう。
一応午後は自由時間になっているが、ロータスはどうしたい?
遊ぶか、勉強するか、稽古に励むか?」
「その3つならば僕は稽古をしたいです。
ランデルさんの稽古はとっても面白いですし、何よりも剣の他の武器も持ってみたいです!」
と答えるとランデルさんは満足そうに眼を細めて
「そうか、そうか。ロータスは嬉しい事を言ってくれるな。バーンなんて俺が剣を教えようとするとすぐさま逃げ出す。酷いもんだ。
さぁ、腹が減ったな。続きは食べながら話そう。」
そう言い、ランデルさんはメイドが持ってきたバスケットを開けてサンドイッチを取り出した。
む、今日のサンドイッチはBLTサンドか。この城のBLTサンドはベーコンの肉汁とトマトの酸味が合わさって美味しいんだ。
バスケットから一つとって思いっきり齧り付く。美味い。
食べることに夢中になっているとランデルさんが笑いながらお前はどんな武器を使ってみたいんだ?と聞いてきた。
「そうですね…
今のところ詳しくは思いつきません… でもせっかくの機会ですので色々触ってみたいと思います!」
「そうか。戦士志望で使ってみたい武器が無いというのは珍しいな。だが、最初に色んな武器に触って感覚を確かめるのはいいことだぞ?
俺も昔、片手剣2刀流にあこがれてな。それでしばらく闘ってたんだ。
だが、俺には両手の武器を器用に動かす事が出来なくて周りの仲間を傷つけちまったんだ…
それ以来、俺は両手武器以外使えなくなっちまったのさ。」
それまで陽気に話していたランデルさんは思いつめた表情になった。
そんな過去があったのか…
「悪い悪い。湿っぽくなっちまったな。
ロータスはもう腹いっぱいか?速く食べないと俺が全部食っちまうぞ?」
とランデルさんはガッハッハと笑いながらサンドイッチを頬張り始めた。
気落ちした俺を気遣ったのか、悪い事をしたな。
ってか俺のサンドイッチがマジでなくなる!
ヤバい!早く食わないと!
「駄目です!食べさせる訳にはいきません!」
と声を張り上げて食べかけのサンドイッチに齧り付いた。
そうして初めての稽古の午前中は過ぎていったのだ…