ステータス~アルフの場合~
ブックマークありがとうございます!
僭越ながら頑張らせていただきますのでよろしくお願いします!
「父様!僕、教会にきたの初めてだよ!」
と大きな声をあげてアルフがはしゃいでいるのをしり目に見つつ俺はこの父親の教会までの移動方法に軽く困惑していた。
いや、確かに親父も母親も魔法使いの頂点に近い立派な魔法使いだってのは知ってるよ? だけどさ、なんで態々空を飛んで教会まで行く必要がある!?
急に「それじゃあ行くぞ~」って軽く声をかけられたら超スピードで空飛びやがった…よく親父に拉致られてるアルフは慣れているらしいが、慣れてない俺としては勘弁してほしいところだ。
「よくお出で下さいました魔王様。本日はどういった御用で?」
教会に着くと黒いローブを着て顔に傷のある老人が迎えてくれた。
「久しぶりだなライノ。今日は息子たちのステータスを確認してもらいたいんだ。」
どうやらこの老人はライノという名前でこの教会の一番上の立場の人間で魔王を支持する魔人の一人らしい。
だが、何故教会の者が黒いローブなのだろうか?教会自体の色は白いのに…
せっかくの機会なので聞いてみるとしよう。
「父上、何故あの神父様のローブは黒いのでしょうか?本で読んだ教会の神父は白い服を着ていましたが。」
と前にアルフと一緒に読んだ絵本に描かれていた事と見比べて質問してみた。すると
「そう言えば前に二人で人間の商人から買った本を読んでいたな。
教会はな、地域によって神父のローブの色が変わるんだ。特殊な生地を使っているとかで地域によって勝手に色が変化してしまうらしい。
例えばこの魔王都あたりは瘴気が濃いから黒色になる。他にも人間領の帝都は白色、精霊領の首都では黄色になるらしい。」
とやけにに具体的に答えてくれた。なんでも自分も昔気になってこの神父様に聞いたらしい。この神父様いったい何歳だよ…
なんて質問しているうちに先ほどまでいた礼拝堂とは全く違う、白い正方形の部屋に出た。中央にはよくわからない四角い机のようなものが一つだけ置いてある。
「さて、魔王様ご説明いたします。」
と老人がこちらに視線を向けた。
親父はまだ興奮の収まらないアルフに説明を聞くようにと軽く注意を促してから頷いた。
「この机は審理の机というものです。
この机の前に立って≪情報開示≫と唱えてください。さすれば唱えた者のステータスが表示されます。能力値は下からF.E.D.C.B.A.S.SS.SSS.Xとなっております。」
へぇ~便利なものがあるんだなと思っていると隣から声をかけられた。
「ねぇ兄さん、僕からやっても良いかな?!」
とアルフが目を輝かせながら聞いてきた。そういえばアルフは魔法大好きっ子だったな。よく親父たちが訓練してるのを見てたっけ。
「うん。僕は後で大丈夫だから、やっておいでアルフ。」
そう言うとアルフは無邪気に机の方に駆け寄って行った。やっぱり小さい子供は良いないぁ(性的な意味ではなく)。前世ではこのくらいの子供と関わることなんてなかったからかとても可愛く思えてくる。
しみじみと考えていると奥の方から≪情報開示≫と聞こえてきた。
机の上の空間に文字が表示されていく。あれがステータスらしい。…というかまるで前世のプロジェクターみたいだな。
15秒程でステータスがすべて表示された。
名前:アルフレッド=ハイドランジア
種族:魔人
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MP:SS
STR:F
VIT:E
AGI:C
MID:A
INT:A
DEX:D
LUK:B
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加護
・魔術師の加護
魔力と知力が大幅に上昇するかわりに体力と筋力が平均以下の値に落ちる。魔法神から祝福された者のみ送られる加護。
アルフがとんでもないステータスをたたき出しやがった?!一体どこの異世界転生魔法チートだよ…と考えていたら周りがざわめき始めた。
そりゃあこんな魔法特化の子供がいたら驚くよな。
「なんと…まさか魔王様よりも魔力量が多いとは…」
「いや、それもすごいが精神と知力の値も馬鹿にならないぞ!」
「しかも戦闘力増幅系の加護持ちとは…これから先も魔人領は安泰ですな。」
とそれぞれが驚愕の声を上げている。一方うちの父親と母親の方は
「すごいじゃないかアルフ!よし、明日から魔法の特訓をしよう!もっと強くなれるぞ!」
「そうよ、このままなら歴史に名前を残せるかもしれないわ!頑張りましょう!」
なんて親馬鹿を発揮している。当の本人であるアルフは目を丸くさせて「アハハ…」と引きつった笑いをしているんだからその辺で勘弁してやりなよ。
それにしても加護ってなんだろうか。騒がれているがそんなに珍しいものなのか?
早速聞いてみた。すると
「加護はこの世界のすべての方が持っています。様々な加護がありますが、今回アルフレッド様に送られた加護は魔法使いの加護ですね。魔法使いの加護は大アルカナに属します。大アルカナは21種であるとされていますが、持っている人は多くありません。大抵の者らは56種ある小アルカナを1種類保持しています。全てのアルカナは神の意志により譲渡されるのです。」
とのことらしい。まぁ義理とはいえ兄弟が強い能力を持っているというのはいい事だな、うん。
と一人で腕組しつつうなずいていると
「次はロータス様の番ですな。血は繋がっていないとはいえ、アルフ様の兄弟であらせられるのです。どういうステータスかとても気になりますな。」
なんて声をかけられてしまった。
そうだった!次は俺もやらなくちゃいけないんじゃないか!
気がついたときには周りから生暖かい期待の目を向けられている。とてもじゃないが俺にそんな期待の眼差しを向けられても…と親父に救いを求めると親父はサムズアップしてきた。
この野郎、これが終わったら脛蹴ってやる…と恨みがましい目線を送りつつ俺は机のほうへ向かうのだった。
次回はロータスのステータスです。
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自分でもステータスが見にくかったのでこちらに日本語表記。
MP:魔力量
STR:腕力
VIT:体力、耐久値
AGI:素早さ、攻撃速度
MID:精神力
INT:魔法攻撃力
DEX:器用さ
LUK:運