プロローグ
初めての小説となります。
至らぬ点ばかりだと思いますが、よろしくおねがいいたします。
(更新は不定期です)
「ふざけんなッ!!こんな会社こっちから辞めてやるよ!」
何て逆ギレして会社を辞めたのは2週間前だっけか。
俺の名前は蓮沼 武蔵
28歳、童貞。
今思うとホントについてない。
営業に向かう途中に車に泥を跳ねられ、スーツが汚いと得意先に怒られ、上司にはクビを宣告された。
そういえば今年は厄年であり、月1で買っている雑誌の占いでも最下位だったな。
とにかく今月は運がないらしい。
ついでに俺のバースデータロットは死神の正位置らしい。
意味は『希望が持てない』だとか『感動がない』と割と酷いものが揃っているようだ。
その事を仕事の後輩に話したら大爆笑されたけどな。
とにかくそういう訳で俺はただの無職だ。
一応安アパートに住居を構えていたので、住所不定では『なかった』。
『なかった』つまり過去形である。
ハロワから帰ってきたら家が炭になっていたのだ。
原因は隣人の寝タバコだったらしい。
元々貯金はあまりしなかったので金なんてもちろんない。
そして今公園のベンチにて物思いにふけっているのである。
生まれてこの方特技なんて呼べるものはなく、背も低い。顔は普通だと自負しているが自慢できる代物ではなかった。
親も親戚も他界しているので頼ることもできない。
コネなんてもっている訳でもなく…ん?コネ?
そういえば小学校時代からの親友が事業を立ち上げて成功したらしい。
ふと気になって調べてみるとそいつの会社は現在業界のブラックホースというところか、すごい速さで力を伸ばしている様だ。
ダメもとでそいつの元へ連絡を入れるとまず会って話を聞きたいそうだ。
よし!と思い俺は指定された居酒屋に向かった。
いや、向かったはずだった。
「ここ、どこだよ…」
結論から言おう。迷子である。
地図に沿って行ったはずなのにどこをどう間違えたのか迷っているのだ。
「一度戻るか…」
独り言をつぶやきつつ来た道を戻る。しかし俺は違和感を覚えた。
なんだかあったものがなくなってしまったかのような違和感。
(なんだ俺にも邪悪なる力が目覚めたのか…クックック、これなら俺も世界統一とか夢じゃないな。)
などと訳のわからない違和感に対して中二病全開で遊び始める。…痛いとか言われてもいいじゃない!面白いんだもの
そうこうしているうちにようやく見覚えのある道へでた。
そしてそこには見覚えのある黒い長方形の物体が落ちていた。
違和感の正体、それはケツポケットに入れていた財布が落ちていたのだ。
たまたま拾えたのは不幸中の幸い!等と思いつつ拾うために道路へ飛び出した。
次の瞬間俺の身体は衝撃を受け飛んだ、さらに跳ねた。
衝撃の正体はトラックだった。俺は生まれて初めて交通事故にあったらしい。
ここで死ぬのか…案外俺の人生終わるの速かったな…
だけど…だけど…もっと、女の子と一緒に遊んだり思いっきり好きな事したかったなぁちくしょぉぉぉお…!
そう思ったが最後、俺は意識を手放した…
――――――――――――――――
「おい!あんな場所に赤ん坊がいるぞ!?」
ん…?何やら男女の声が聞こえる。それに肌寒い。さすがに家がなくなったとはいえ夜寝るときはネカフェで寝てたんだが…。風邪でも引いたのか?
「本当だわ!でもどうしてこんなところに…」
どんどん声が近くなってきたな…最近のネカフェはドアが無いったって勝手に部屋に入ってくるとかとんだカップルだ。
「! この子、かなり弱ってるぞ!早く手当てしてあげないと!」
という言葉を聞きながら俺は浮遊感を覚えた。そうまるで抱きあげられてるかのような浮遊感。ってええっ?!さすがに身長が小柄だとしても簡単に抱きあげられるような体重してないぞ!?
「おぎゃあぁ!おぎゃあ!(お前どんな腕力してんだ!ってか降ろせよ!)」
って喋れねぇ!?いったいどういうことだってばよ!?
「とりあえず回復魔法でいいかしらね?≪ロー・ヒール≫!」
なんて言葉が聞こえた瞬間に俺の身体が淡い緑色の光に包まれ、布団に入っているようなリラックス感を感じた。俺が目を白黒させている中、二人の男女は会話を続けている。
「とりあえずこれで回復はしたみたい。でもこの子どうするの?ここにいるってことは恐らく…」
「捨てられたんだろうな。ひとまず保護して親が現われなかったらウチで育てよう。だがなるべく早く戻った方が良いな。赤ん坊を連れてこの場所は俺とお前でも危険すぎる。」
と言い俺を抱きながら男は歩き出した。さすがの急展開に俺も頭が付いていけない。
なぜか身体も上手く動かせないな…とりあえず今の状況を整理しよう。
①俺は会社をクビになって、家は火事で無くなった。
②昔の友人に電話して会うことになった。
③トラックにひかれた。
④気が付いたら身体は上手く動かないし変な男に連れ去られている。
うん。あきらかに③からおかしいよな。
確実に③のあたりから記憶がないし。
なんて事を考えていたら目的に着いたようだ。ってなんかでっかくて黒い城があるんですけどぉ!?
「お帰りなさいませ魔王様。して、その手の中の子供は?」
ローブに身を包んだ、お爺さんと思われる風貌の男がそう口を開いた。
「森で拾った。しばらく保護してみて親が現われなかったらウチで育てる。丁度息子と同じくらいだし、いい遊び相手になるんじゃないか?」
って今更だけどさっきから子供だとか赤ん坊って言われてるのは俺なのかい?
確かに手とかを見てみると異様に小さいな。ついでにベージュの猫や犬のような毛が生えている。
「<流浪の森>に子供。それもドワーフとは…魔王様達はまた厄介事に首を突っ込みましたな。」
「やかましいわ!とりあえずこの子預かってくれ。仕事が終わり次第そちらに顔を出す。」
そう言って魔王達と呼ばれた男女は黒い城の中へ入って行った。
もしかしてここはファンタジーの世界で、俺はよくある転生なんてものしてしまったのではないか…
なんて思いつつ
「(もうどうにでもなれ!!!)」
と自棄になり眠りについたのだった。
7/13文書修正