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第六話 ヘーゼルの瞳

 しばらく歩き。

 舗装された広場の様な場所に出た。

 辺りにはこの広場の様な場を囲むよう、家屋が立ち並ぶ。

 つい最近まで内戦が起こっていた様には見えないほど、戦火の跡がない。 

 いや。

 戦火の後はあるかもしれん。

 そう考え、少し離れた位置に見えるファバルの城に目を向けた。

 国の象徴として緑が茂っていてもおかしくないと言うのに、その城には緑が見えない。

 それだけではない。

 皇国に入って見た緑は、芽吹いたばかりと言った様子だった。

「こんにちは。いかがなさられましたか」

 突如として声が聞こえた。

 おそらく広場に居る人間に、誰かが声をかけたのだろう。

 もしくは、迷子でもいるのだろうな。

 さて。

 変なのに絡まれる前に、場所を変えるか。

「あの……もし? そこの…………髪の短い、暗緑色? の、お方」

 ……髪が…………暗緑色……?

 確か。

 この国の人間は、基本的に金か銀の髪が主だ。

 そんなセゲル王国に多い黒に近い髪の人間など居るはずもない。

 まぁ、俺達みたいな間諜を除けば、の話だがな。

 そう考えながら歩きつつ、空を仰いだ。

 そのとき。

 「困りましたね」と。

 苦笑したような声が聞こえ。

 エウィルが自らの懐に入れている短刀をいつでも取り出せるよう手を入れ。

 いつでも反応できるように構えた。

 

「では、言い方を変えましょう。暗緑色の髪をお持ちの『セゲェル王国騎士隊・第一部隊隊長。ダニル・オルドー』殿?」


 ……うむ。

 どうやら遅かったようだ……。

「隊長。いかがなさいます」

 小声で問うエウィル。

 表情、口調に変化はなく、『無』だ。

 俺も不思議なことに焦りや、気味の悪さと言ったものを感じてはいない。

 不思議なことだな。

 そう思いつつ足を止め、振り返る。

「初めまして。私はウェルコット・オルバーナと申します」

 声をかけて来た男はそう言って頭を下げた。

 が。

 なぜか男の顔が見えない。

 いや違う。

 『首から上が分からない』と言った方が正しいはずだ。

 だがそんなこと、あり得るはずはない。

 第一に。

 人の頭全体を認識することが不可能など、ありえないことだ。

 …………俺の目は壊れたか?

「我が主がお会いしたいとのこと故、ご同行願えますか?」

 男はそう答え、微笑んだ――――ように思えた。

 だがしかし。

 『はい、そうですか』と付いて行くはずもないだろう?

「失礼。幼少の頃より『見知らぬものに付いて行くな』と教育されているので。行くぞ、エウィル」

「……………………はい」

 酷く間をおいての返事。

 なんだ、何か言いたいのか?

 そう思いエウィルを見るが、相も変わらず無表情――かと思ったが……。

 奴のヘーゼルの瞳が蔑みの色を浮かべていた。

 が。

 それも一瞬後には失せ。

 無に変わった。

「エウィル。言いたいことがあるのなら、言え」

「………………………………………ありません」  

 エウィルはそう言って、スッと目をそらした。

 何故だろうな。

 眉一つ動かしていないというのに、奴に対して苛立ちを覚えたのだが……。

次回、視点変更予定。

とかいって、予定は未定だったりする。(笑)

しかもいつ投稿するかも不明と言うね!

ま、気分が乗ったらまた投稿します。

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