第四話 命令
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大地は土色。
傾いた古い家屋。
踏み固められただけの道。
…………ここが本当に、破竹の勢いで成長するファバル皇国……?
なにかの間違い?
そう考えながら前を行く、上官に続く。
上官の名は、ダニル・オルドー。
剣の腕で騎士隊、隊長職に上り詰めた男。
そして。
少し目を離した隙に姿をくらます第一部隊の隊長でもある。
出身はセゲル王国と隣国・グデイファ王国との国境付近の村・ガナ。
そこにグデイファ王国が進行してきた際、男の両親はそれを退けるために命を散らした。
戦場と化した村。
そこで大勢の人間は命を奪いあい。
散らし、または道連れにして、敵を退けた。
大人に交じり剣を握る子供。
その中に。
血に濡れた剣を振るう、血まみれの子が居たと聞く。
……つまり、この男だ。
生憎、私はその出来事より後に生まれた。
よって。
それが真実なのかは分からない。
【騎士隊隊長】。
それは、貴族の特権。
貴族以外がその地位についたことは皆無。
つまり異例だ。
だが。
王はそれを望まれ、男に第一の部隊を預けられた。
貴族と平民。
それらの命を預けた。
……異常だ。
正気の沙汰ではない。
それも議会の承認を得ずに王の独断。
反感を抱く者もいる。
ましてや、この平民出身の男に何ができる?
剣の腕しかない、この男に……。
陛下は何故、出奔を企てる者と知りながら、国から出した?
この男は第一を預かる、セゲル王国の最大の矛にして、盾。
それをまとめる男が消えることは、国家が傾くほどに危険なことだと言うのに……。
否。
『出した』ではなく。
ファバル皇国という脅威を前に、『逃がそうとしている』?
まさか、な。
……もし仮に、私の憶測が正しかったとして、何故私にまで同じ命が下った?
私はこの男。
ダニル・オルドーの監視役ではないのか……?
……わからない。
陛下のお考えも、国の重役の方の考えも……。
…………まぁ良い。
私は私に下された命令。
『ファバル皇国の動向を探るとともに、ダニル・オルドーの監視』。
それを遂行しよう。
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読んで下さり、誠にありがとうございました。
次回不明。
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