ヒューマノイドと予言
「ヒューマノイド、それはどこにあるんだ?」
九重さんが俺に真剣な顔つきでたずねてきた。
きっとさっきの言葉から言って、予言と関係あるのだろう。もしかすると、俺も予言の歯車に組み込まれてしまっているのかも知れない。
「言う必要なんかない。
あれを使えば、俺はお前たちにも、政府にも勝てる。
だから、お前たちなんか、要らない。
急いでるんだ、離せよ」
シビル・ヨーコのクローンによる予言なら、きっと成就してしまうのかも知れない。でも、その予言が何なのか、クローン達にとってはともかく、俺たちにとって成就すべきものなのかも分からない。俺はその予言の歯車になりたくなくて、そう言ってもう一度腕を思いっきり動かして、九重さんの手を振り払おうとした。
「さっき言った事は悪かった。
話を聞かせろ。
俺たちも協力する」
九重さんの態度は真剣そのものだ。ヒューマノイド。そんなものの存在自身怪しげなのに。
予言との関係がよほどあるのだろう。
いや、それだけではないのかも知れない。元々クローンたちの多くはヒューマノイドの人工頭脳開発のために造られたものである。人体実験の話は知らなくても、ヒューマノイドの存在自身は薄々知っていたのかも知れない。
「予言とはなんだ?」
俺はそれが条件だと言うオーラを放ちながら、たずねた。
「簡単に言えば、我々クローン解放だ。
我々に協力させてくれ」
クローンの解放。それなら、クローン達が行動している理由も納得できる。
俺は納得した。それは俺や優衣ちゃんも望む事である。俺はゆっくりと、その言葉にうなずいた。
「中に入るぞ」
敵が戻ってきたらどうすると言っていたじゃないかとは思ったが、冷え込む夜の気温は俺の体を蝕んでいたので、俺はその言葉にも頷いた。
九重さんは俺の家のドアを開けた。みな、俺の家の中を目指す。
俺も優衣ちゃんの手を取って、家の中に入って行った。
ヒューマノイド。その起動のための作戦と起動後の作戦を話すため、俺たちは主を失ってしまった俺の家のリビングに集まった。
照明を点けず、暗闇の中、俺たちは顔を近づけ、小声で話を始めた。




