表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/74

優衣ちゃんはクローン?

 何の事だ?

 はっきり言って、俺には優衣ちゃんが言っている言葉の意味が分からない。

 首をかしげる仕草をした俺を見て、優衣ちゃんが言葉を続けた。


 「私ね、真一さんやおじさまのような人間じゃなかったの。

 真一さん、見たよね、クローン」


 俺は頷いてみせたが、優衣ちゃんの言っている事の意味はまだ分からない。

 優衣ちゃんはふぅと一息吐いて、暗い夜空を見上げてから、話を続けた。


 「実は、私もクローンだったみたい」


 優衣ちゃんはそう言うと、俺から目をそらし、俯きながら、体を小さく震わせ始めた。

 俺の頭の中は十分な整理ができていない。人体実験のために、クローンを造った。戦闘部隊のためにクローンを造った。それぞれには納得できる理由がある。でも、優衣ちゃんがクローンである理由が無い。

 なんで?

 その話はまじなのか?

 それが俺の素直な気持ちだ。

 だが、そんな嘘を俺に優衣ちゃんが言う理由も無い訳で、それは事実なんだろう。

 だとしてもだ、俺の答えは決まっている。

 俺は再び優衣ちゃんを抱きしめた。

 そして、優衣ちゃんの耳の横で囁いた。


 「優衣ちゃん、ちょっと驚いたし、それが本当なのかどうか分からないけど、そんな事は関係ないよ。

優衣ちゃんは優衣ちゃんだろう。俺はどんなことがあっても、優衣ちゃんの味方だ。

 俺はここにいる優衣ちゃんが好きなんだ」


 そこまで言うと、俺は優衣ちゃんを抱きしめた。


 「ありがとう。真一さん」


 優衣ちゃんはまだ顔を上げる事ができず、うつむいたまま、震えるような声で言った。

 込み上げてくる愛おしさ。

 俺は今まで以上に力を込めて、ぎゅっと優衣ちゃんを抱きしめた。

 長いような短いような時が、俺たちを包み込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ