アダーシェク帝国の影
皆が再び魔物の退治に向かいます!
一瞬その場に穏やかな空気が流れたけれど、教会の外から魔物の咆哮が聞こえて、また空気が張り詰めたものとなる。
「さて、あの魔物、どうしようか」
アルヌルフさんが、外の方に視線を向けながら言う。
「とりあえず、私は瘴気を浄化しますね。浄化すれば魔物の力が弱まるかもしれないので」
私はそう言うと、両手を宙に掲げて唱えた。
「神よ、この世の全てに祝福を!!」
すると、キャンドルから漂っていた瘴気がスウっと消えていく。よし、成功だ。
「あの魔物、空高く飛ぶし捕まえるのが難しそうですね。俺に考えがあります」
ディートマーさんがそう言って、エルヴィン殿下とアルヌルフさんにある提案をした。
私達は、再び教会の外に出る。瘴気を浄化したおかげで魔物はあまり高度を上げられないようだけれど、まだまだ元気に飛び回っている。
「じゃあ、いきますよ!」
ディートマーさんはそう言うと、また杖を持って詠唱を始めた。魔物の真下の地面に魔法陣が現れ、蔦が魔物を捕えようとする。魔物は一瞬蔦に絡め取られて地面に落ちそうになったけれど、すぐに蔦を千切って高度を上げようとする。
「行かせるか!」
アルヌルフさんはまた上空に魔法陣を発現させ、雷を落とす。上空からは雷。地面からは蔦。二つの魔法陣に挟まれて、魔物は混乱しているようだ。
「殿下、今の内に!!」
アルヌルフさんの言葉を合図に、エルヴィン殿下は大きく剣を振るった。
「炎よ、災いとなる者を焼き尽くせ!」
すると、エルヴィン殿下の剣から炎が巻き起こり、竜巻のように真っ直ぐと魔物へと向かって行った。その炎は魔物を取り囲み、魔物を焼き尽くしていく。魔物は、断末魔の叫び声を上げた後、サラサラと灰になった。
「……終わった……んですかね」
私が言うと、エルヴィン殿下は頷いて言った。
「ああ、もう魔物はいない。これで、牢にいるツェーザルに良い報告が出来る」
私は、ホッと息を吐く。でも、エルヴィン殿下は真剣な顔で言葉を続けた。
「しかし、アダーシェク帝国がこちらにちょっかいを出そうとしているとなると楽観できないな。あのキャンドルの男達からもう少し情報を得られるといいんだが」
今までの出来事を総合して考えると、アダーシェク帝国の誰かが聖女による浄化を邪魔したり、魔物を活発化させたりしているらしい。外交問題もあるから、解決は難しいかもしれない。
でも、私は私に出来る事をするだけだ。この国を守る為に、大切なエルヴィン殿下を守る為に。
私は、真剣な表情で考え込むエルヴィン殿下を見ながらギュッと拳を握った。
魔物はいなくなりましたが……。
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