分刊『タイミー』
時が一分進むごとに物語が生まれ変わる
時が一分進むごとに新しく発売される分刊『タイミー』が書店に並ぶ度、読者の人たちはその雑誌を読もうと慌ただしくお店に姿を見せる。
決まり通りに発売させないと時の皺寄せがくる為、一分より早くても遅くても売り場に置くと分刊『タイミー』が時の狭間に吸い込まれてしまうのだ。
かつて一分より早く書店の店員さんが分刊『タイミー』を店頭に並べてしまった事があり、雑誌を手にしたお客が時の狭間に吸い込まれてしまい、その二分後に二分年をとった姿で戻って来たという事案が起きた為、陳列には用心が必要となる。
「店長、新しい分刊『タイミー』発売まで十秒をきりました。
陳列のタイミングが、細かすぎて怖いですね」
「落ち着いて、時が五十八秒になった瞬間、雑誌を並べれば良いの。
二秒の間に並べ終えて、そしてまた、次の分刊『タイミー』の準備に入れば良いだけの事よ」
「勝負は二秒で決まるわけですね」
ここ『時守書店』の分刊『タイミー』に対する扱い方は優秀。
『全国書物陳列コンテスト』では毎回グランプリを誇る成績を残しており、ミスは一度も起こしていない。
新たな一分が始まる前、分刊『タイミー』の新刊発売を待つお客の数を計算する店長、店員の仕事魂の熱さは物語を書き下ろす作家の心と同じくらい熱い。
新たな一分に切り替わる二秒前、店長と店員に動きが見えた。
熱く、そして輝かしい物語が廻り出し、今日もまた、新しく始まる新刊『タイミー』の発売が訪れる。
「お待たせ致しました‼
新刊の、分刊『タイミー』が出ました‼」
「次の一分が来る前に、お早くお手にお取り下さいませ‼」
いつの日か分刊、秒刊が出る世の中が来れば、忙しない事、間違いなしです




