第6話 奪還の炎
いよいよセルヴィア奪還の決戦へ。
仲間たちはそれぞれの道を進み、そして絆が試される。
村々を転々とし腐敗しきった兵たちを駆逐するたびに、
「英雄アベル」の名は自然と広がっていった。
三兄弟はどこへ行っても大声で
「俺たちの兄ちゃんはすげぇんだ!」と吹聴し、
イリオスはそれを面白がりながらも冷静に利用した。
「そろそろ潮時だな、アベル。」
夜、焚き火の前でイリオスが言った。
「王都に攻め込もう。お前の炎と、この人望があれば十分いける。」
「……あぁ。」
アベルは短く返事をし、剣を見つめた。
(この剣はもう、復讐の剣じゃない。守るための剣だ。)
夜が明け、ついに王都の外壁が見えた。
「よし、作戦通り分かれていくぞ。」
イリオスは地面に描いた簡易地図を指でなぞる。
「俺は側面から王都に入り、門を内側から開ける。
お前は正面を蹂躙してくれ。」
「……分かった。」
イリオスがにっと笑った。
「頼んだぜ、アベル。」
イリオスが兵を率いて王都の狭い裏通りを進む。
(これなら一気に中まで――)
油断したその時、建物の影から複数の兵が飛び出した。
「っ!?」
剣がひらめき、イリオスの頬に浅く切り裂かれる。
「調子に乗りやがって……ただの軍師風情が!」
「……っクソ、まだここで死ぬわけには――」
次の瞬間だった。
「誰が死ぬってぇえええええええ!!」
泣きながら豪快に叫ぶ声とともに、
三兄弟がどこからともなく飛び込んできた。
「俺らの軍師様に手ぇ出してんじゃねぇぞゴラァ!!」
「うおおおおお!!」
「泣かすぞコラァァ!!」
その勢いはまるで暴風のようで、敵兵は次々に吹き飛ばされる。
「お前ら……なんでここに……!」
イリオスが呆れたように笑うと、三兄弟の長男が涙と鼻水をこすりながら叫んだ。
「決まってんだろ!俺たちは兄ちゃんと軍師様の剣と盾だって言ったんだ!!」
やがて門が開かれ、王都の内と外を繋ぐ。
正面で火の粉を散らしていたアベルが、剣を肩に担いで門を見上げた。
「やるじゃねぇか、イリオス。」
「当たり前だ、アベル。」
門の中から血まみれのイリオスと、泣き笑いの三兄弟がこちらを向いていた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
仲間がいるから守れるものがある。
次回、ついに玉座の間へ。