STORIES 070: 古い友達(side. A)
STORIES 070
「あれ?おーい、久しぶり!」
おお、なんだよ、こんなとこで。
こっち帰って来てたんだ?
「2年ぶりにね。妹たちも来てるのよ。」
今年は花火大会もあったしなぁ。
「そう!観に行った?」
家の窓から少し眺めた。
「なによ、もったいない。」
買いもの中?
あ、それ。アイス溶けるよ。
「あ、忘れてた。ね、後でご飯いかない?」
いいよ〜今日はヒマだし。
「じゃ、行ってみたい店があるから、18時に迎えに来てよ。」
またここでいい?
ここなら歩いて来れるんでしょ?
「オッケー♪ じゃあね。」
ほーい…
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「駅前、だいぶ変わっちゃったね。」
シャッター街どころかさ、空き地だらけだよ。
「時代かねぇ。寂しいねぇ。」
逆に渋谷あたりもさ、もうワケわかんないだろうなぁ。
「ずっといると感じないけど、10年も経つとそうかもね。」
あっちはしばらく行ってないなぁ。
…ん? もうここ閉店時間?
「早いね、閉まるの。ちょっと海岸でも散歩していこうか。」
え、デートみたいじゃん。
「うっさいよ。海も2年ぶりなんだからいいでしょ。」
食べ過ぎたし、少し歩きますか。
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「暗くてあんまり波とか見えないね。」
この時期は、こんな夜が多いよ。
「あ、3年の時に私のクラスにいたあの子、覚えてる?
テニス部でさ、この近くに住んでた。」
んー? どうかな。
「髪をこうやってまとめててさ、胸の大きい…」
あ、思い出した。
「スケべ」
なんだよ。自分で…
「可愛かったよね。あんたのファンだったみたいよ。」
え〜っ、何でその頃に教えてくれないかな…
「あんた、他に好きな人いたでしょ。」
でも、上手くいってなかったし。
「どっちも縁がなかったのよ。そういうもん。」
ま、そうなのかな。
「そうそう。」
でもなぁ…
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「私さ。いまの会社やめるかも。」
もったいないなぁ。やり甲斐ありそうなとこじゃん。
「仕事は嫌いじゃないんだけど、酷いのよ、パワハラ。」
どこも人間関係ですか…
「張り合うのもバカらしくなっちゃった。」
こっち戻るの?
「んー、元上司から誘われてて、転職検討中。」
デキる奴はいいねぇ。
「ふふふ。そっちは?」
まぁ、ボチボチだね。可もなく不可もなく…
「でも、前より顔が明るくなったよ、うん。」
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あ、そろそろ。
「ホテルにでも連れ込む?」
ばーか…
「ふふふ。」
送ってくよ。日付が変わっちゃう。
「ありがと… xxxxxxxxx」
ん?
「さ、行こ。」
次に会うのは何年後になるかなぁ…