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プロローグ

 

 ────この世界は一度滅ぼされた。


 魔狼フェンリルと呼ばれる災厄の獣によって。

 長い年月をかけて風化していく地上をたった一夜にして荒地へと変え数多の終わりを、忘却の災害を齎した。

 生命の起源すらも喰らう恐ろしい獣と恐れられ、その満たされることのない欲望の行く先は何処へ向かうのか。

 このまま終末を迎えるだけなのかと、そう思ったとき一筋の光が天界から舞い降りた。


 ────名を大天使ルシフェル。天より舞い降りた救世主。

 雄々しく広げた二対の翼と神々しい輝きに包まれるその姿に暗雲の空を快晴に変えるほど眩しく明るい光。

 聖剣を右手に携えてその剣先を魔狼フェンリルに突きつけると有無を言わせぬ長き戦いが始まった。

 魔狼の硬い皮膚に傷を与える斬撃は自然治癒能力を阻害し、鋭い牙も爪先も空振るばかり。

 ただ本能のままに行動する魔狼フェンリルにとって初めて『敵』という認識が生まれ、恐れ、憎悪の対象となった。

 幾千の生命を滅ぼす魔狼フェンリルとこの地上を守ろうと戦う大天使ルシフェルの戦い。

 後にこの戦いは《終末の黙示録(ラスト・アポカリプス)》と呼ばれるようになった。

 両者共に引けを取らず長きに渡る戦いに終止符を打ったのは大天使ルシフェル。

 けれど、傷付いた身体では立つことも出来ず飛ぶ気力すらなくそのまま深い眠りについてしまった。


 ────それから千年後、世界の生命(いのち)の象徴と呼ばれる世界樹ユグドラシルが誕生。

 荒れ果てた大地や枯れた大海に命が戻り文明を築き三つの王国が建国された。

 東にアトランタ帝国、北にネレウス王国、西にノールン公国と世界樹ユグドラシルを中心とする三つの国。

 やっとこの世界に平和が訪れた───かに思えた。

 文明が栄えることで生じる争い、飢餓、《魔狼病》と呼ばれる未知の病。

 時代や歴史を理解しても同じ道を辿ってしまうのが運命なのか、宿命なのか。

 それとも()()()()()()天より舞い降りるのか。

 この世界の行く末は一体、どこへ向かっていくのか。

 その答えは────《終幕(ラグナロク)》へ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても壮大なストーリーと世界観が克明に、過不足なく語られていて素敵な書き出しでした。国家配置が分かりやすくてイメージしやすいのも素敵でした。続きを楽しみにしています。
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