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異説・外宇宙生態観測  作者: J・P・ルドルフ
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外宇宙【酸の海広がる惑星】


 ──遥か彼方に存在する外宇宙。


 その外宇宙に存在する銀河の一角にそれはいた。

 青白い焔を吐き出しながら獲物となる敵対する生命体を求めるそれは人間がイメージする悪魔のような外見をしていた。

 背中より生えた翼。腰から生えた尾。鋭く尖った牙。額から生えた二本の角。黒い鱗に覆われた人形の肉体。

 悪魔のようなそれは金色に輝く瞳で自身より何倍も巨体な相手を見据える。

 今回の獲物は海月のような透明な──なれども、その脳のような構造が透けて見える酸の海を漂う存在であった。それは空中より海月のような何かに狙いを定めると一気に急降下する。

 海月のような何かはそれに反応すると脳のような部位を輝かせ、サイコキネシスを発動させて悪魔のようなそれの動きを止める。

 そして、海月のような神経毒を持つ触手を悪魔のようなそれに突き刺さんとするが、それの肉体は硬く、触手の針を突き刺すまでには至らなかった。

 その間にも悪魔のようなそれがサイコキネシスを強引に力で突破し、徐々に海月のような何かに迫りつつあった。

 海月のような何かは更に光を放ち、脳のようなものが脈打つ。


 ──プツンと音がして、海月の脳のような部位から紫色の出血が起こり、海月のような何かは酸の海の底へと沈んで行く。

 悪魔のようなそれを縛るサイコキネシスは止み、自由になったのを見るに海月のような何かは息絶えたのだろう。

 しかし、そこで第三者である巨大なピラニアのような魚達が海月のような何かに群がり、補食する。海月のような何かの紫色の血が酸の海と交じり合い、科学反応を起こして猛毒なって異臭を放つ。群がるピラニアのような魚達も猛毒を浴びて数匹が酸の海に腹を浮かせるが、同族の死など気にする様子もなく、海月のような何かが無惨な姿と化していく。

 無論、悪魔のようなそれも黙ってみていた訳ではない。別の捕食者に獲物を横取りされ、怒り狂ったように口から青白い太陽のようなブレスを放つ。

 太陽のようなブレスは酸の海を蒸発させ、ピラニアのような魚や海月のような何かが蒸発する。酸の飛沫を浴びながら悪魔のような何かは青白い炎で燃える酸の海にダイブし、海月の死骸を引き裂き、その脳のような部位に牙を立てる。

 そんな悪魔のようなそれにピラニアのような魚が仕返しと言わんばかりに群がるが、その牙が悪魔のようなそれの肉体を噛み砕く事は出来ず、寧ろ、歯が欠けてしまい、逆に捕食されてしまう。

 そんな悪魔達の捕食争いに終止符を打ったのは巨大な鯉のような鯨にも似た生物であった。

 悪魔のようなそれは危険を察知したのか、すぐさま、急上昇したが、ピラニアのような魚も脳を持つような海月もまるごと飲み込み、鯉のような鯨にも似た生物は酸の海を波打たせながら、再び深海へと沈んで行く。

 これがこの外宇宙の一角で繰り広げられる弱肉強食の世界の生態である。このような弱肉強食の喰うか、喰われるかのやり取りは珍しい事ではない。

 それは銀河を越えた遥か彼方でも変わらない。



 ──これは遥か彼方で繰り広げられる人の知る領域限界を超えた先で行われる弱肉強食の世界の話である。

 我々、人間の知る知識も常識も通用せず、ましてや科学さえ及ばない人外の生物達が明日を生きる為に互いを喰らい尽くすまでの物語。

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