第四話、霊柩車でサーカス?
更衣室に入って、他の男子と一緒に着替える。
お姫様だった頃に出会った他のお嬢様たちがここに来たら、慣れていないから赤面して逃げ出してそうだけれど、私は王子とか私の体を見てきたから抵抗がなくなった。
体操着袋を床に置いた私に、雄二が話しかけてくる。
「これ嫌だったら答えなくていいんだけどさ。どうしてごんってそんなに怠けたいんだ?」
私は答えに詰まった。てっきり主語が私なことを聞かれるのかと思っていたから、ちょっと準備ができてない。私は着替える手を止めてつい短めに整えている私の前髪を触っていた。
「雄二。それは私、そういう人だから」
「それで王城学園は入学できないでしょ」
さすが王城学園の同級生たちから学級委員長に選ばれただけあって、雄二の勘が鋭い。ごまかせばごまかすほど、ぼろがでそう。小学生だったときのことはこの学校の誰にも知られたくない。
「……あのさ。蜜香が心配していたんだぜ。このままじゃ、ごんに釣られて学園祭の出し物で、みんなの熱が入らないまま唯利の負担が増えるんじゃないかって」
「蜜香は、もう一人の学級委員長の雄二の心配はしないんだな」
「あぁ。言われてみれば確かに。まぁ僕はそんなこと気にしないぜ」
雄二のその鋼鉄の心を、あの王子にも見習ってほしい。……って無理だな。私が王家のシェフのスープより宿の粗く切られた野菜のスープを美味しそうに食べたのを見ても、とがめなかったくらいだし。
やっぱり王家の料理がまずかったのが……、違う。違う。王家の料理にも美味しいのはあった。でも食器の扱い方とか結局ほとんど理解できなかったし、周りに馬鹿にされてそうで味があんまりしなかった。
そういえば猫の毛刈りしようとしたときは怒られちゃったなぁ。
「どうした?ごん?」
「あ。ごめん。雄二。やっぱり猫って羊の代替品じゃないから、毛刈りできないよね?」
「?????。……???」
私は何かあったのかと雄二を見上げる。
「……ごん。もしかしてごんって、霊柩車でサーカスでもしたことでもあるのか?」
「?……ないけど?」
私は雄二が突然変なことを言い出したものだから着替える手を止めて、何を言えばいいのか悩む。
「おい。二人ともー。さっさとしないと遅れるよ。あと、ごん。その下着姿でぼんやりするのやめてほしい。……ほら、ドア開けたときに誰かに見られるかもしれないじゃん。あんま言わせんなよっ」
そう言って脱兎のごとく去ったのは岩下だった。あいかわらず高そうなワックスだなぁと思った。あと下着っていってもただの白の肌着だし。
……話している間に他のクラスメイトは更衣室を出ちゃってたらしい。さっさと着替えていた雄二を待たせながら、私も急いで着替える。
……本編より、後書きを考える時間の方が長く感じるのはなぜでしょう?
ここに後書きに集中しすぎて完全ソロRPGの更新があることを忘れ、ログインボーナスを二日連続貰い損ねた人がいます!…ということで深夜の投稿になりました。