2.2 10月29日 秦野市渋沢 付近
古川さんから聞いたけど、今回の件はなんとまあ恵さんが仕組んだコトって。。
独占欲が猫並みに強い恵さんがね、、
いやちがう。たぶん、、久美子さんだな。
え?キス以上のことはするなと?はあ、、だろうな。
確実に殺されますわ。
家に帰り身の回りの必要最小限のモノをリュックサックにまとめ、3年間アルバイトでためた貯金、、おそらく自費で大学に行くことになることを想定し、初年度分の学費をアルバイトで稼ぎ出し、そのバイト代が入った郵便貯金の通帳を確認。どうにか60万円ためた。これでも少ないと思うけど。本来ならば片山の親戚がある横浜の家に下宿して横浜国大の文系を考えていた。おそらく、、昭和63年度の受験は2部であってもムリだろうな。。ついでに、昭和63年度受験から入試方式が変わるのだけど。。この騒動で対策をしていなかった。共通一次でならばどうにか行けるかとおもうけど、西島や高橋の話だと「センター試験についてはいまいちよくわからない。足きり点が、、」っていっている。
ついていないねなにもかも。。
ほぼ毎週末恵さんの家にいたけど、それ以外は高校1年からここの会社で夜アルバイトしていた。
それでいて成績は10位以内に入ることができていた。それがなければ5位以内は楽に入れただろうし、行く気はないけど旧帝も射程圏内だったろう。
まさかこういう形で使うことになるとはね、、当面の生活費か。
「ひろ。。はいるぞ」
そういい父が入ってきた。
「悪かったな、、俊宏から聞いた。こんなことになって。。恵ちゃんと行く場所ってあれか?山本の実家か?」
やつれたなお父さん。。あの母親はまた遊びに行っているのか・・どこ旅行いったんだかさ。わけわかんないよ。。
「それ聞いていない。なにも考えなしに動くとは思えないし。落ち着いたら、、あ、連絡はしない方がいいか。たぶん、、恵さんがその場所から松田の家に連絡を入れるとおもうから、、もうここには戻らないつもりだよ。あと、戸籍謄本を4本取り寄せて久美子さんに渡してください。。それと、、」
お父さんには言っていなかったけど、8月にあのじいさんとあっているんだ。。
サシでね。。
「おい、、」
こんなこともあろうかと、、片山のじいさんからもらった海軍士官の短刀をその際に持たせてもらった。
あんたの一族が恵のこと手をかけるマネしたらあんたとのこの軍刀で刺し違えます
という意思表示であの短刀を目の前に出しました。
そういい、父にその短刀を出した。
迷いがないなこの目、、初めて見たよ。
というか、、死んだ兄の目だわ。。
あのガダルカナル帰りの軍曹とやりあえたとは。。
「ひろ、、これだけは言っておく。俺はおまえの味方だ。俺だけじゃない、俊宏も山本も橋本もだ。実は、、まだ話せないが裏で動いている。。悪かった、、せめておまえだけでも、普通に生きさせてゆくゆくは恵ちゃんと、、まあいい。。
少ないけど、、コレはオレと俊宏からの餞別だ。。受け取ってくれ、、、」
いい、、いらない。。この軍刀あれば恵のこと守れるし、、あとこのモーゼルがあるから。。
実弾も十分にある。
と言うと
「ちょっとまて!まさか、、C96まで持っているのか。。それだけはまずい。。気持ちはわかるがC96は預かっておく。。」
オヤジ、、博に海軍士官短刀とモーゼルC96をいつ渡したんだ?
というか、、これ定期的に整備されているし。。
「ひろ、、これとっておいてくれ、、元々は大学の入学金として貯めておいたんだ。こんなんじゃ済まされないだろうけど・・じゃあ・・成功を祈る」
封筒の中身をあけると、、50万円入っていた・・おいおいここの会社のボーナスの1年分じゃねえかよ、、どうためたのだ、、
はあ、、モーゼル取られたか。。軍刀はよくてモーゼルはダメって、、
常識的に軍刀もダメだろうけどな。