表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】 目覚めたら悪役令嬢の中でした  作者: 氷雨そら
第2章 断罪のあとの世界
30/74

魔術師の中の魔人


 魔人うさぎが、ただのぬいぐるみになってしまっている。持ち上げると、くたりと力なくその手が下がった。


「無事、目覚めたか」

「――――まーくん」


 ベッドに座って、フェリアス様がこちらを覗き込んでいた。憮然とした表情が、いつものフェリアス様と全く違った印象を醸し出している。


「……助けてくれてありがとう。まーくん」

「同じ魔人が聖女を不幸にするのが許せなかっただけだ。それに、フェリアスはまだ」

「それでも……。まーくんが、奥の手なんて言うってことは、もしかして」

「――――アイリスが妙に察しがよくて気持ち悪い」


 それはひどいと思う。一応公爵家令嬢として、貴族間の水面下の争いを経験しているんだから!


 中から見ていただけだけど。


「まーくん……。大丈夫なの?」

「今はフェリアスの心配をした方がいい。まあ、あいつのことだ。多分、こちらの状況は中から見えているんじゃないか?ま、俺がここにいる限りは、食事もできるし特に命に別状はないけど」


 フェリアス様と、断罪前までの私の状況は似ている。やっぱり、あの魔人が私のことを……。


「心配するな。フェリアスの中に入っている間、多分俺はあいつより強い。守ってやれるから、その間にフェリアスを表に出す方法を探せばいい」


 それは多分、とても難しいことだろう。フェリアス様だって、断罪が終わる直前にようやく私を助け出してくれた。


 そして、私が頼ることができる人ですぐ会うことができるのは……。


「リリーチュールに連れて行って」

「うわ、あいつのところか!俺の方が引き摺り出される未来しか浮かばない」


 そんなことを言いながらも、何だかフェリアス様の体に馴染んできたようなまーくんが、私の手を取る。


 いつも温かいフェリアス様の手は、今とても冷たくて。握る力も、いつものフェリアス様よりも強くて少し痛い。


「行くぞ?」


 時々、フェリアス様の深い蒼をした瞳の中に、紫色の光が反射する。


 まーくんにも、転移魔法は使えるらしい。むしろ、傍目に見ていても、フェリアス様以上に自然に魔法が紡がれる。


「あの、その魔法」

「なに?転移魔法を俺が使ったらおかしいか?もともと魔人の世界の魔法だぞ」


 次の瞬間、リリーチュールの前にいた。正面玄関には、臨時休業の札が下げられていて、代わりに腕を組んだリリーさんが目の前に立っていた。





最後までご覧いただきありがとうございました。


『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『目覚めたら悪役令嬢の中でした』


html> イラストは木ノ下きの先生に描いていただきました。加筆改稿書き下ろしたっぷりの電子書籍版もどうぞよろしくお願いします(*´▽`*)
― 新着の感想 ―
[良い点] 剣で戦うまーくん!かっこかわいいです^_^(私の中では「リサとガスパール」のガスパールのイメージです) inまーくんと普段のフェリアス様との違いが印象的でした [気になる点] 赤い目の魔…
[一言] リリーさんも察しがいい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ