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【電子書籍化】 目覚めたら悪役令嬢の中でした  作者: 氷雨そら
第2章 断罪のあとの世界
24/74

カフェというより


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 フェリアス様と入ったカフェは、落ち着いた雰囲気だった。でも、大人気のおしゃれカフェというには少し侘び寂びを感じる。

 そこでメニューを見た私は、衝撃に思わずメニューを取り落とす。


 あんみつが……ある。


 メニュー名はアンミーツになっていたけれど、間違いない。あんみつだ。だってピンクと緑の求肥っぽいものまで載っている。


「ふふ、驚いた?」

「は……はい!」

「ここのパティシエ、東の国出身らしいよ?シオーユソースもここで手に入れてもらったんだ」


 あの日、目玉焼きに添えられていた醤油!ここで手に入れていたのね?!

 じゃあ、もしかして他の素材もあるのかしら。マヨネーズはないのかしら。


「嬉しそうだね。やっぱり、元いた世界が恋しい?」

「────そうですね。恋しくないといえば嘘になります」


 なぜかフェリアス様は、寂しそうに見える。たしかに、もう一つの故郷は懐かしい。この世界とは違う理で動く世界。


「帰れると、したら……」

「でも、元の世界にはフェリアス様がいないから。帰りたいかと聞かれるとそうでもないですね」

「──え?」

「あ、でももしフェリアス様も一緒に来られるなら悩むかも?」


 再び懐かしい故郷に、想いを馳せる。でも、フェリアス様みたいな超美形が行ったら、大騒ぎになるわね。


「──アイリス。これ以上俺のことを駄目にしないで欲しい」

「──?なんで今の会話の流れで、フェリアス様が駄目になるんですか?」

「──むしろなんで分からないんだ」


 隣の椅子にちょこんと置いてあるかのように座っているまーくんがつぶやいた。「誰かに聞こえたらどうするの!?」と店内を見渡したけれど、早朝でお客が少ないせいか、誰も気が付いてはいないようだった。


 私はホッと一息ついて、メニューに視線を移した。なんだか魔人うさぎが口を押さえて震えている気がしたけれど、それは見ないようにした。


 結局、カフェオレとクリームあんみつを選ぶ。フェリアス様は、ブラックコーヒーだ。大人だ。


 目の前に届いたあんみつは、涙が出るほど美味しかった。


「あんみつ!あん……みつ?」


 何故か、繊細なデザインをしたガラス器の底にある寒天が、七色に光っていて噛むたびにキラキラと音を立て異世界スイーツ感を醸し出したけれど、味はたしかにあんみつだった。


 


最後までご覧いただきありがとうございました。


『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけると嬉しいです。

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『目覚めたら悪役令嬢の中でした』


html> イラストは木ノ下きの先生に描いていただきました。加筆改稿書き下ろしたっぷりの電子書籍版もどうぞよろしくお願いします(*´▽`*)
― 新着の感想 ―
[良い点] あんみついいですね♪ 和スイーツ食べたくなります^_^ [一言] 「魔人あさぎ?!」参上!甘い空気に耐えつつ二人を見守ります笑
[一言] 七色に光るあんみつ 見てみたい
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