ため息の夜に
手のひらを外せば
明るい夜に
おやすみ
ままならないものを
繕う手を止めて
ため息の熱さを知っているから
風はつめたく吹くほうがいい
見上げた月に
口笛を届けるように
おやすみ
どこかで朝を迎える人たち
口に出してもすべてが
叶えられるわけじゃないから
わたしたちは夢をみるのだろう
今日という今日の
ボタンを外して
おやすみ
刻まれた思い出が
時計の針のように
またわたしを巡っても
まどろむ薄墨のなかで
誰かの優しさを求めるより
誰も責めることのない夢をみたい