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盗賊

休憩を済まし、再び歩き出したところで、なにかにつけられているような感覚がした。

アキラも同様にしきりに死角となるところを警戒していた。

3人はいったい何がどうしたといった感じで、頭上に疑問符を浮かべるだけだった。

ザラザラした感覚がまとわりついたまま進むこと半刻ほど。

その正体が目の前に現れたのだ。

見た目的には数人のパーティがエネミーに襲われたように見えるが、よくよく見ると違う。

出血などはしておらず、血糊など「こちら側」にはないのでエネミーの血を利用したのだろう。

負傷したと思わせている人もただ痛がっている演技でその仲間たちも、正直言って大根だ。

タイガ、ミオ、ケイはその痛がっている人に応急処置を施そうと近くに寄ろうとする。それを俺とアキラで制す。

「どうしたの、2人とも?怪我をしている人がいたらほっとけないよ?」

ミオが聞くも、演技をしていた奴らは感じたらしく舌打ちし起き上がる。

え、え?となっている3人を置いて俺たちは構える。

「なんで気付いちまったんだ?」

「おい、片方グロンじゃねぇか!」

「ほう」


「なに悠長に喋ってんだ」

「おぬしら、我らに何用だ。ものによってはただでは帰さぬぞ」

声に少しばかり脅しのような怒気が混じってしまったが今は無視だ。

それで奴らも感づいたのか、獲物を取り出した。

「グロンを雇うほどよっぽど懐に余裕があるようにみえたからな、すこしばかり頂戴したって構わないだろう?」

「下種な奴だ」

アキラが先に踏み出した。


流石戦闘種族、といってもいい程の素の能力が高い。

軽く握った拳一振りで、リーダー格の隣にいた男を数十メートルほど吹き飛ばし気を失わせた。

これで「ゲン」。つまり戦闘能力では最下位部族だというのだ。最上部族の「ジ」ほどまでいくとなるとどれほどの強さなのか。

「「ゲ」に上がるために鍛錬を積んでいるのだからな。これくらいは当然だ」

しかし、これでも「ゲ」には届かないとのこと。グロンはどれだけ戦闘好きなんだ…。


しかし、仲間がやられたにもかかわらず、戦闘意欲だけは衰えずにいたらしく周囲に潜んでいた仲間も出てきて乱戦状態になった。

そんななかでは槍という長い獲物は取り回しがどうしてもきつくなってしまう。

というわけで。

全滅させるつもりでやった。

後で腰が抜けてしまった3人には説明して黙秘してもらうしかないか。

一度深呼吸をし、変身と呟く。

今度は宿でしてみたような部分解除のような中途半端な姿ではなく、シャチサメを相手にした時のように全身おおわれた状態になった。

アキラは一瞬ぽかんとしたが、すぐに意識を戦闘状態に戻し、拳を振るっていた。

俺はシャチサメを一撃で蒸発させたあの時のような大剣は出さずに、小回りの利きそうな双小剣ダガーを作り応戦した。

大剣もそうだが、双小剣なんて一度も使ったことの無いのになぜ使いこなせるのか、疑問だった。

恐らくは槍が元になっているからではないか。そう思うことにする。

ものの数分で手下たちを、目の前で全滅という名の無力化されたリーダーの顔には絶望のようなモノがにじみ、溢れていた。

「こやつの処遇、どうするか」

「…ほんとは半殺しにしておきたいのだけど、「あの姿」を見られたしな…」

なんて物騒な会話を二人ですると、大の大人がと言いたくなるほどの醜態をさらし始めた。

「じゅびばぜん!魔術師さまから物を盗もうなどと考えたわたくしが愚かでした!」

などと言っているも、ほとんど涙声と鼻水で何を言っているのか解らなかった。

「わたくしはなにも見ていません!この命を賭けまして誓います!」

命までかけると言っているのに首をはねるのはまずいだろうし、これ以上やりすぎると3人が精神的に死にそうな顔になってしまっているので、誓約書を書かせた。本当に周りの荒野は地獄絵図と言っていいほど血生臭く血みどろにしてしまっていた。

その誓約書の内容をまとめた文章は俺が書いたため、ほとんど呪いのようなモノになってしまったと、呪術などが得意なミオが後から教えてくれた。

末代まで呪うモノとかだったらどうしようか。


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