表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/77

グロンに頼まれて一緒に行くことになって約半日。今はそろそろ昼食になろうかという時間帯に差し掛かっていた。

パーティメンバーは3人、グロン1人、そして俺。

リーダー格のタイガ、タイガの幼馴染ミオとケイだ。

ケイは女性のような見た目をしているが男性だと聞かされた時には自分の目を疑った。

俺をパーティに引き入れたグロンは、ゲン・アキラ・グと言っていた。

グロンの名づけには人間と違い複雑であるらしく、

「人が発音するには難しいからアキラと呼んでくれればいい」

と言っていた。そんなに発音が難しいかと首をひねるも、タイガたちにとってありがたかったらしい。

自己紹介と、「東」まで一緒の旅をするということで歓迎会に近い食事会をした。

そこでも俺の食べる量は3人には驚かれたもののアキラには「さすがだ」と納得されてしまった。



そうして和気藹々と町の外へと出る。

「外」と呼ばれる町の壁の向こう側は荒野に背の低い草花、高温多湿に強い樹木があるだけだった。

「北に行くほど寒さが強くなり、西に向かうと緑豊かになるんだ」

タイガが教えてくれた。

本来は東の島国にすぐ行く予定だったのが、3人は南の町に寄り道をしていたらしく、アキラとは別の同行していたグロンが離脱してしまい、アキラが一緒に行ってくれるということになったところで俺に出会って、戦力は少しでも多い方がいいということで今に至るらしい。


点在する草花は地球にあるようで若干違ったものばかりで、進化や成長の仕方も違うのだろう。

馬車などは出る前に確保できなかったため徒歩での移動になっているが、道中にある町に探してみると、タイガはいっていた。


徒歩での移動は景色の変化の乏しい荒野では(いささ)かつらいものがあった。

どれだけ進んだかがわかりにくいため、タイガたちは町を出てすぐは明るく喋りながら歩いていたものの、半日経った今では黙り込んでしまった。

しかし、アキラだけは俺の槍に興味が尽きないようで、一時的に貸している。

最初は俺以外の者が持ったらなにかしら悪影響が出るのではと断ったが、アキラは

「センシ殿の力を見るまでは早々死ぬわけにはいきませぬ!グロンの種にかけてもいいくらいです!」

と言っていたので、諦めた。それほどグロンは「センシ」を崇めているのだろう。

アキラはグロンの中でも下っ端の「ゲン」という部類に入ると言っていた。

実力が伴うようになってやっと下である「ゲ」に昇格できる試験にやっと受ける資格を得られる。受けられるだけなので、そこからさらに試験を受け、合格し認められなければならない。

中の「ツ」、上の「ジ」に昇格するのも同じ手順を踏まなければ上がれないので、ほとんどの「ゲン」に属すグロンは昇格を諦めているらしく、アキラは自分が「ゲ」や「ツ」、「ジ」に昇がり、「ゲン」でも上に上がる希望を持たせようと、実力をつけるため護衛などをしている。



時間帯的には15時をまもなく迎えるくらいになったため、休憩を取ることにした。

町を出てからは水分補給程度では木陰などで休んでいたが、すぐに歩を進めていたため休憩とは言い難い。

その為、昼食をとった店で詰めてもらった甘味を出す。

鞄に入れたすぐはできたてで温かかったので冷めていると思ったが、そうでもなかった。

それを見た4人は驚いていた。

「まさか、その鞄もなにか仕掛けがあるのかい?」

「タイガ、それよりも甘味だよ!」

「そうだね!お菓子なんて何時ぶりになるんだろう」

「ヒエン殿、後ほどでよろしいので、見せていただけないか?」

さきほどまで沈黙だけしかなかったというのに、甘味もとい菓子を出した途端騒がしくなる。

「ま、いっか」

この騒がしさは一緒にいて疲れない。疲れたとしても楽しい疲れだと思う。

…それよりも、ケイの言った「何時ぶり」というのはどういうことだ。

こちら側では砂糖は昔の地球の香辛料と同じように貴重なものというのか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ