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雪と氷

※今回の内容は冬に書いたものですが、いろいろすいません。

西を出て大分経つ。

只今俺達は吹雪の中にいます。

なぜこうなったかというと、ごく簡単に言う事もできる。

それは、「厄介事に引っかかった」のだから。



本土を進むときは海沿いを進む。

それは何故かと言うと海沿いは、特に海岸では陸上型のエネミーが少ないから。逆に海のエネミーには畏れられているおかげで戦闘が起きないわけだ。

嬉しいのやら、嬉しくないのやら複雑な心境にもなる。

そうして無事に進んでいた。

が、西と同様に北にも関所があった。違いは有人であること。

俺はこちら側に急に飛ばされたもんで、身分証明なぞあるわけなく。タクミは「人」の枠に収まるわけないから持っていない。

という訳で、人の視線が集まらない場所から関所の壁を駆け昇り、越えた。

元タクミの力である蒼の鎧をこんなことに使わなければならないのが許せないらしく、怒っていた。

関所付近は今頃災害級の豪雨になっているだろう。死者が出ないことを祈るが。

憂さ晴らしができスッキリしたらしいタクミはご機嫌の様に見える。


関所をくぐった先には白い山と雪掻きされある程度舗装された街道がある。

白い山の先はまた似た様な山があり、その後ろにも…といった感じで雪山がずっと続いている気になってしまう。

雪が溶けずに積もっているのは寒い証拠。

関所を降りた後に纏を解いた俺は、鏡で確認すればきっと唇が真っ青だろう。

それだけ寒い。

氷点下、なんていえるだろうが、恐らく冷凍庫の方が温かいだろうと言えるほど寒い。

こんな寒いときは炬燵に籠りたいと思う。

暖色系の炬燵布団に温かい畳、丸くなる猫。空気を暖めるために、蒸気を上げる薬缶やかんの乗った石油ストーブ。最終は籠に入った蜜柑だろう。

……古いと感じたら負けだと思っている。俺ん家には全部あるから当たり前だと思ってた。

友人に尋ねたら一つもないなんて家も最近はあるらしいがな。

と、それた。

こちらでも炬燵はあるのかと思いつつ、タクミを見る。

水は零度になると凍る。それは変わらないようで、タクミが凍りかかっていた。

よく見ると髪の毛に氷柱つららができているのが確認できた。

俺は鞄から鳥のぬいぐるみを取り出し、タクミに近づける。

するとぬいぐるみは暑いらしく、氷柱が溶けて行った。

はっと意識を取り戻したタクミは、少しの葛藤と悩んだ末、凍ることを避けるようにぬいぐるみを抱えた。懐炉扱いされているも、今は鳥本体と距離が離れすぎて会話できないから問題は無いだろう。


そのまま、道を進んでいくと、小さな集落が見えた。

しかし中に入ることを躊躇う。

南から来たと言うと不思議な目で見られると言う。

南は温暖な気候の土地で、対して北は極寒の地。

南の民は北の寒さに耐えられず、逆も同じで北の民は南の暑さに耐えられない。

生まれた体質の所為らしく、仕方ないとも取れる。

そんなわけだが、やはり寒いのはきつい。耐えられなくはなくとも。

俺自身、あちら側では中間の位置にある県に住んでいたのだ。

どちらも耐えられるし、耐えられそうもない。

短時間だけならば平気だが、だが長時間はどうかと言われると自信は無い。

休みたい。しかしタクミが東の神様だと言うことがばれたくない。

葛藤していると、その町の入口から馬車のような乗り物が出てきた。

馬車のようだと言ったのは幌を牽引しているのが馬ではなく熊の様な生き物だったからだ。



そして目の前を通り過ぎ、俺達が今来た道とは反対方向に進んでいく。

慌てて追いかける。

じっとしていたタクミの手を強引に引き、走り出す。



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