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緑島3

みすぼらしくなっていたホワイトタイガー。こと西の柱である白さん。

俺が侵入したとして怒っていたが、姿を見て一時的ではあるが矛を収めてくれた。

そう。青い鎧の「纏」をしたままだった。

それからは、何故か昔話を聞くはめになった。しかもやけに長いから適当に相槌を打ち、気にして欲しそうな所はすかさず質問を挟む。そうして相手をし、体感で二時間と少し。これで外ではかなり日数が過ぎた事だろう。そんで戻った時の俺にかかる反動も朱やタクミの時とは比にならないほどかかるだろう。


だが、簡単に物事は進まない。


『我の力を越えなければこの空間からは出られんぞ』

は?

素で声が出た。

「なん、て?」

『ここは我の支配域。外への干渉はそれほど難しくは無いはずだ。朱や紺に比べたら古いのでな』

神域は確かにいたことはあるも、大体放り出されるように外側に戻ってきていた。

だから初めて自力で出なければならなくなった。

しかしその事を知らないと思われる白は、

『朱や紺の様に硬度のある場所に二度は出入りしておるのであれば簡単に破れてしまうだろう?』

余裕のよっちゃんでしょう、なんて言いたそうな表情をしている。

その誤解を解こうとしようとしても、

『次元の壁すら超越してのけたのであろう。このくらいできぬと言うならば「証し」はやれんな。それともあれか。早々(はやばや)と突破しては面白味の欠けると申すか?我がこのような事で落ち込んでしまうとでも?甘いわ』

と先へ先への言葉を取って言ってしまう。

そんなことないのだが。ただ単にどうすればいいのか解らないだけなのだから。


―これは単純だぞ。


―そうネ。


ふとウサギとヒカリの声が聞こえた気がする。

『おう、欠片の坊ちゃん嬢ちゃんじゃないか。久しいが、どうかしたか』


―白、ちょいと此奴に手をかすが、文句は言うなよ。


『何故だ?』


―詳しく説明すると長くなるんだけド…


『なら、要らん』


―なに!?


―え!?


そりゃ二人は驚いただろう。というよりも、


―何で要らんとか抜かす!?


怒った。ウサギが。つまり、


暴走。


俺の身体から急に力が抜け、意識も遠ざかって行く。

遠ざかる意識の中、ウサギが表に出ていく。

もうどうなっても知らない。



抗おうにも力は入らない、感覚が曖昧になって行く、輪郭がぼけていく。

「…最悪だ」


そう思っていた。しかし、ウサギはすんなりと結界に干渉し、白を驚かした、らしい。

ヒカリに話を聞いただけなので実際の所ではどうかは知らない。

『紺…今はタクミと呼ばれておるか。奴がお主を見定めたように、我も見定めなければならぬ。済まぬが付きおうてくれ』

とウサギの暴走が止まり、一段落したところで言われた。


『朱でも、紺でも良し。我はどちらでも構わぬ。纏え!』


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