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雨後晴

雨がやっと止んだのは一晩過ぎた後だった。

結局、止む直前まで勢いは変わらずに降り続けた為、食事は簡単に済ませなければならなかった。

夜になろうとする頃に、

『私は気が向いたらまた来るよ』

このままじゃ寝るに寝れないだろうし。

と雨の中に消えていった。

タクミはイユイがいなくなったことで清々したのか、落ち着いた。

鞄から寝袋か布団扱いしている少し厚めの布を出し、寝る。

タクミは体温が下がる心配はしないでいいらしく、そのまま寝ていた。



翌朝、昨日の雨が噓みたいに感じるくらいの晴れ。

イユイに拉致られて結構距離を進んだとはいえ、次の目的地である「西」はまだ大分だいぶ先。

ぼちぼち進んでいこうと思う。



四日過ぎたあたりで厄介な事になった。

それまでは順調に進んでいたのだが、西へ行く船のある町へ行く道に大量のエネミーが蔓延り、封鎖されてしまっていたのだ。今はそのバリケードと化した関所の屋上にいる。

「他の者がいないことがせめてもの救いでしょうか」

「そうだよな…」

今では普通に「纏」を使っているも、一般の人間からしたらエネミーやグロン達と同じように「違う種」と思われてしまう。そのため現在は出来るだけ他人がいない場合にとどめるようにしている。

三日前にエネミーに襲われていた商人を助けたが、その時目の前で纏を解き、害は無いと2時間程説明してやっと信じてくれたが、「センシ」だと認めた者以外の他の者には気軽に見せない方がいいと忠告された。


という訳で、纏を一切せずに三日間エネミーと戦闘を巣繰り返して進んでいた。怪我の治りがいくら常人より早いとはいえ痛いのは嫌いだ。この関所に近づくほど強さは増していったため、グロンすら近寄らなくなったのだろう。ということで。

「変身!」

いつもより、今までより何故か自然と気合を込めて叫ぶ。

隣で掛け声などいらぬでしょうと呟く龍は放っといて。

炎の赤色。

最初は赤でエネミーを倒していたが、周りは手入れされず伸び放題の植物の生い茂る場所。

引火するわ。そりゃ。

いつの間にか燃え広がり、どこかの国の山火事を思い出した。

「そんな呆けていていいのですか」

「いや、どうしようも…」

そこで、はっと思い出す。


タクミを王都地下水路で見つけた時何色だった?

赤になる前、槍自身火事の炎を吸収していた。

あそこには水があった。

神殿で青の属性のタクミは何と言っていた。

地下水路には何があった。


なんて言おうなんて迷う暇は目の前の事態を見て無いと赤ん坊でもわかる。

無言で、変身と叫ぶ時と同じ構えをし、強く考える。

「炎ではなく、水を!」


そして、姿は青になる…。


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