都市4
イユイと戦闘し、船の底で迷子になってから、次に日の光を拝めたのが翌日。
本物のソウジが、アラタがいつまで経っても約束の場所に現れないことに疑問を抱き、警備のためにいた兵士たちを半ば強制的に動員し、一日かけて捜索したとのこと。
いいのかと思ったが、
「大切なアラタのためだ。そんなこと、当然だ」
胸を張って言い切ったソウジは身長や外見は、想像やイユイの取っていた姿と変わらなかったが、
「ソウジ、まさか君がそんな位の高い存在だったなんて」
そう。彼は少年でありながら、王様に認められ兵に命令する許可を得ているのだと言っていた。
実感わかない。
俺が思ったことを、当時のソウジは思った。
「軍事利用して戦場で死に、家族が悲しい思いをするよりも、私用になってしまうが、失わない方を、僕は選ぶ。だから、警備兵程度に収めてくれと直訴したんだ」
謀反や王族の暗殺等への抑止力とし、そして有事の際には独自の判断により行動を任される事になったと。「有事の際」はこちら側ではエネミーの襲来が主だ。
「それよりも、アラタを助けてくれたそうだね。ありがとう」
やはり、全ての事よりもアラタの方が先に出るということは、どれだけ大切な存在なのだろうか。
「……あそこで一体何があったのか、話して頂けますか」
心配だったもんな。できるだけ隠さず話すつもりだが、あまり大勢に聞かせると後が怖いと告げると、アラタの言っていた、二人の泊まっている宿で訊くと言っていた。
事情聴取か…こちらにはカツ丼は無いから、取調べは無いだろう。
*
宿に着き、そして話す。
ソウジを探すため、劇を観に行き、人の波に流され、船底部に迷い込んでしまい、その先で魔神を見つけたことを俺はアラタと二人でソウジに話した。
魔神と戦闘をしたが、イユイは本気ではなく、楽しむ程度だったことと、俺の「お使い」のその先にある話をしたことは伏せた。アラタは理解できていないようだったし、説明しようものなら俺の現在の生い立ちを話さなくてはならなくなる。それを省略するため、話さなかった。
「そんなことが」
顎に手を突き、考えていたソウジが顔を上げ、
「アラタを助けた時、魔神と遭遇したのだな?」
「まあ、そうだな」
え、なにか、おかしかったか?
「魔神を退けたのか?」
「いや、勝手にいなくなった」
少し沈黙になる。
「この王都にまで魔神が出没するなど、結界柱が機能していないのか?」
そんな小さな独り言が聞こえてきて、イユイの言っていたことを思い出した。
この世界の大黒柱とは、この惑星の大地を支え、大陸の分断を起こさせない為に存在するもの
ソウジの言う結界柱イコールイユイの言っていた大黒柱ならば、壊れているはず。それに、魔神は人の手により柱が壊されるのを防ごうとした。しかし防ぎきれずに破壊された。
「あー!もう、わけ解らん!」
いきなり叫ぶと、驚かれた。
「どうしたの…?」
二人になんでもないと言い、座り直す。
なにかごたごたしてきて、苛立つ。




