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冷海

無事に神殿を後にし、人のいる集落をめざして歩を進めている途中、魚を大きくしたようなエネミーを見かけた。しかし、こちらを確認するやいなや、あっという間に逃げて見えなくなる。

「…本当によく逃げられるな」

感心しつつも、腹の虫が抗議し始めた。

神殿では簡素な食事が出されていて、文句は言わずにいただいたものの、飽食と言われた時代にいたものだから、少しつらい。

レトルトやカップメン等が懐かしく思えてきた。

「まだそんな日数経っていないはずなのにな…」

鬼の洗濯岩みたいなところに出ると、波が高くなっていた。

神殿を出た直ぐより水位が上がっているから、潮が満ちているのかと思うも、違う。違った。


逃げていったエネミーが、仲間を引き連れて戻って来た。それもたくさん。

襲うのかと思い、槍を構える。波飛沫がかかり、しょっぱい。目に入りそうになったし。

整列したかと思うと、じっとしていた。

「なにこれ」

確か神話に在ったな、こんな感じなの。あれは数を数えると騙して踏み石にしたんだっけ。最後に原因は自業自得だが全身から生皮剥がされたとかなんとか。

おお怖。なんて思い、通り過ぎようと右向け右すると、列になったエネミーが騒ぎ出したように思えた。

「もしかして、もしかすると」

そーっと見ると、進んでくれ!と言いたそうな眼をしたエネミーしかいなかった。

「…ドMか」

ただ一言感想。それしか出なかった。



エネミーの背を踏み、飛ぶように走って行くと、漁港のような場所に出た。正確にはその隣に着いたのだが。漁師たちに自分らが狩られないようにと思ったのだろうか。


隣の島までは自力で泳ぐことになった。


日が出ない東の海。そりゃ冷たい。大袈裟だろうが、凍りそうになった。足や手の感覚がわからなくなったまま泳いで、隣の島に着く前に唇と顔が真っ青になった。

全身が重い。筋肉痛になるだろうと思うね、絶対。治ったばかりなのに。

ひ―こら言いつつ海岸に打ちあがる。立てない程体力を消耗していたのだ。

これって2度目だよなと思いつつも、意識は深く落ちていく。

深い深い、意識の底へ。

恐らく、また前回と同じようにヒカリに呆れられたような声をかけられ、ウサギには蹴飛ばされるのだろう。たった今思い出した…。何で蹴飛ばしたんだ、ウサギは。ものっそ痛かったんだぞ。


―そうか。ならばホーリーの説教の方が好ましいとでもいうか。


意識の底で目を開けると、笑顔が妙に硬いウサギの顔がそこに。

寝転がったままの状態だったため起き上がると、近くにヒカリとホーリーと、

「……どちら様?」

青い装束をまとった美人がいた。


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