蒼の考
※今回は龍神視点
なぜ、こんな事になったのか。朱の新参者を問い詰めたい。
「大柱」が消失してから何年経った。人の仔の代替わりが何十回と行われたほど経った。
世界は一度光を失ったことがある。
そして月と太陽は輝きを取り戻すため、王の石を造り、星に埋めるようにした。
そして繁栄と衰退を繰り返し、現時点に至る。
しかし、停滞してしまい滅びへと再び進みかける星とその住人達に、一つの変化を呼び込んだ。
…呼んだのが朱ということは癪だが仕方ない。
偶然とはいえ、星の流れを扱える者を、くしゃみで生きたまま連れてくるなど、不可能と考えられていた。白や玄はこの事実を知ったらさぞ驚くだろう。
不可抗力とはいえ、あの「越えし者」にはいずれつらい選択をさせてしまうだろう。
六つある支柱とそれの中心に立つ大柱。
朱の地に立ったと言っていたのと、聖の面影のある「鎧」だったので、我で三柱目か。
やんちゃものと昔の精神の頑固者と、厄介な性格の持ち主。
…不安になってきた。
しかし人柱は必要な事になるのも事実。場合によるが、器どころか魂の形すら残らないとなると総ては水の泡。星自体に負担しかかけない結果になる。
そうさせない為、我の欠片を与えるに値するか見極めた。
なんとまぁ、なんだ。聖が既に認めていたが、我も認める事になった。
まさかあの「双割れ」がおるとは思わなんだ。
*
―ひとつ言い忘れておった。
やつに直接言うか。
―水属性の我は、青き力を持つ。焔のように力押しはできぬから気を付けるのだぞ。
我は拳で語ることは好むも、水はそうはいかぬ。
さて、どうするか見ものだな。




