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青の許

気が付くと、噛み付くというよりも容赦なく喰おうとした龍の顔が眼前にあった。

「どぅあああ!?」

仰向けのまま、腕と足だけでシャカシャカと逃げる。

龍は、じっと見るだけで、何も言わない。


『貴様、否。貴方はやはり、「越えし者」であったか』

「え」

越えし者?それって。

『次元を越えた者。彼の星からの来訪者があると、朱が申しておったのだ。…先程はすまない。これからの為と、真偽を見極めるため、試さなければならなかったこともある。が、我が我を忘れてしまったことを謝罪させてもらいたい』

随分と態度の代わりようだな。確かに、朱?鳥のことだろうな。俺がくしゃみによってこちら側に引っ張られて、現在に至るまでを話した。

説明を済ますと、正しかったという証明と龍が俺のことを認めた証しを渡された。

証明は腕輪のような輪っかをもらった。龍自身が認めた証しは、槍の刃に紋が刻まれた。

青色の筋で描かれた紋は、ほんのり光を放っていた。

置いてあった槍を持ち上げると、視界が一転。神殿の中にいた。

周りにはキリコさんやアマネちゃん、他に知らない神官達が囲むようにいた。

「え、っと、ただいま?」

首をかしげてしまいつつも、戻って来たと伝えると、周囲にいた全員に安堵した表情をされた。



「本当に、龍神様に攫われてしまったかと思いました…」

アマネに第一声そういわれた。

そして、驚いたことに日付が半月と過ぎていたことが判明。

「レン殿の仰る生成り色の場所というのは、恐らく神域と呼ばれる神聖な場所なのでしょう。こちらの土の上との時間経過は変わると云い伝われています」

「…頭痛くなってきた」

まだ、戻ってきてからというもの、本調子とは言い難い。頭痛はするし足腰は痛むし筋肉痛らしき痛みもある。正直言ってつらい。

それに加え神域との時間差により体が追いつかない。半年の経過を一気に2、3日で穴埋めするようで、身体のあちこちが痛む。

鳥が「普通の人間にはできない」といった理由が理解できた気がする。

キリコさんに話を聞くと、神官や神子は龍の言葉を受信するだけらしいのだが、受信するだけでも念に念を重ねた周到な準備が必要になるという。

それに神域には「土くれの肉体は進入不可」という制限をかける門があり、入れない。無理に入ろうとすると、ましで精神崩壊を起こし要介護か寝たきり。最悪、その瞬間に蒸発すると。

神怖ぇ。

しかし、それほど大切なのだということもわかる。


俺に気を使ってか、この神殿に来て最初に目が覚めた場所を一時的に貸してくれた。

祟りが怖いとかなんとか小間使いされる見習い神官さんたちは怯えていたが、慣れた人は慣れたらしく何も言わず聞かずにしてくれた。


あのあと、握りしめていた槍に青い紋が入っていることを確認した。

そういえば、戦闘する前に纏ったあの姿が変わった事、まだ鳥に訊けてない。

真紅の鎧になったのはどうしてか。確か、ホーリーと交えた時はまだ灰色の気がしたが、どうだったか。



体調が戻ったのはさらに三日後。明らかに早い。あちらの次元にいた頃でもこんなに早く治らなかった。その間は何故か寝ていてもウサギとヒカリを見ることは無かった。どうしたんだろうと思いつつも、調子が戻ったので、いつまでもお世話になりっぱなしになる訳にもいかないために神殿を後にした。

アマネから東の島群の簡単な地図を貰い、とりあえず人のいる町へと向かう。

今日は珍しく天気が良いと言っていたが、天気は小雨時々霧。土砂降りの雨ではないからいいらしい。水の土地だからというのも一つだが、生まれた頃から雨の日を見続けているため、日常になってしまったと。梅雨の時期が年中だというとつらいものがある。それは俺が太平洋側育ちだったからだろうか。わかんねぇな

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