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青海2

宿は満室とべらぼうな価格なため、野営することに。

街中でそれをやるわけにも―宿があるためそちらの顔を立てるためにも―いかないので、入ってきた門をもう一度くぐり、街の外へ出る。


日の沈む直前の琥珀色の空を見つつ、少し離れた木陰に腰を下ろす。

木の上では緊急時に動けなくなるため、根元にもたれかかるようにした。

食事は町で材料を購入するのを怠ってしまったため、有り合わせになってしまった。

1人なため、そんなに量を必要としなかったのが幸いだったが。



よくわからない。

また、変な空間にいた。


ウサギとヒカルがいるはずと思っていた空間かと思うが、どうやら違う。


―・・・・


不可視の誰かが、なにか伝えようとしているのか知らないが、何言っているのか判らない。


―・・・・ ・・・・ ・・・ ・・・ ・・ ・・・・?


疑問形なのか。意味は解らなくても、疑問系か肯定系なのかのざっくりしたものは分かった。




…そして、津波の音で目が覚めた。



嫌な夢だ。気分は朝から最悪。起きたら、水をぶっかけられていた。

場所はどこかに移動させられたみたいで、知らないところだ。

「あんた、東に密航しようとしたんだろう」

「おれたちの使おうとした手段を否定しておきながらよくも、ぬけぬけと」

よく見れば昨日の餓鬼んちょ共が、俺を釣り上げて周りを囲んでいた。

「どういう状況だ」

今日の動きは、昨日見つけられなかった船長たちを探して、交渉するつもりだったのだが、そうもいかなくなってしまった。

鎖に縛られ、クレーンのようなもので釣り上げられる状況って、どこかのドラマにあったな。最後は主人公たちが救い出したが。だが、俺は現在一人で行動しており、助けてくれる仲間はいない。

はあとため息が漏れる。

周りの子供らは、何をするでもなし、じっと見ているだけだった。


時間稼ぎと知ったのは、すぐにわかることになった。


この部屋に一つしか無い潮風で錆びた扉をけたたましく蹴り開けた人物の放った言葉が、狭い室内に響いた。

「みんな聞け!貨物船に雑用として運んでくれることになった!」

おおっという子供たちの声がこだまして、耳が痛い。

そうか。俺が雑用として運んでもらおうと船長たちを探していると勘違いしたのか。よくもまあ、街の外にいてエネミーに襲われる可能性が高い俺を引き摺ってこんなところまで運んだことだ。



しかし、その後鎖から解放されて、扉の外に出て驚いた。

埠頭の端にある貨物を船に乗せるためのクレーンの真下にいたのだった。


さて、と言うことで、無事とは言えないができるだけ穏便に子供たちに鎖から解放していただいたのが昼過ぎ。無血とはいかず、多少流血沙汰になったのは割愛。

事情を説明して、船長と話を付けたと言う青年に案内してもらっている。

船の乗組員たちは豪奢な宿の隣にある一見地味に見えるところにいた。

そこに船長たちに直接判断してもらうと、海戦が得意な護衛であるグロン達はこの町にはいないため歓迎された。宿に泊まる金がないため野営しているという話までうっかりしてしまうと、船の掃除をしてくれるなら使っていいという許可を得まして。

船に設置されている風呂場の掃除をしています。

先の子供たちも同じようだったので、一緒になって掃除している。

女性側の方は女子が一人いたため、その子に全て任せてしまうことに。

といっても、乗務員も男性ばかりで、女性側の風呂はその子専用と言っても過言ではないようだが。


一息入れ、終わるとどの部屋で寝泊まりするかのあみだくじになった。

こちら側でもあみだがあると知って驚いていた間に選ぶ場所がなくなっており、強制的に決まったような感じになった。

乗務員や船長、副船長などの部屋を除く部屋割りが決まり、その部屋で休むことになった。

俺があてがわれた場所は船底に近いところと、エネミー襲来したらすぐに対応できないのではと少し焦る場所だったが、嵐なため逆にエネミーに攻撃に当たりやすいのはエンジンやその付近である底の方だと教えてもらった。


というか底に穴が開いた時点で危険なのだが、嵐の中進むのとそう変わらない危険だと笑いながら言ってのける船長。周りの船員の顔が真っ青。お気の毒としか言いようがない。



鞄や槍などの荷物が無いことに気が付いたのは青年に船長のいる場所に連れて行っている間で、無事に手元に還ってきたのがついさっき。

絶賛説教中。鳥に怒られました、マル。

鞄から、朱の島で購入した鳥人形が出て、飛び蹴りをかましたのが発端。布を巻いた状態の槍を使いまだ攻撃しようとする鳥を近づけないようにした。そしたら、そんなことに槍を使うなと、説教時間倍増。

げんなりする俺を放置し、延々言い続ける鳥。結局寝れずじまい。

寝られるようになった時には日の出の光が見えはじめた頃。

泣きたい


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