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船 1

そして避難から戻って来た島民に保護されて早7日。

第一に見つけられ、保護してくれる優しい島人達で助かった。

噴石に紛れて落ちたものだから全身打撲の重傷に近いところまでいって、よく生きていたと我ながら思う。

島民は俺のことを「神の御使い」なんて呼び始めてきた。なんとなく理由は分かる。

なんでも傷の治りが早い。瀕死の重体から3日で寝床から上体を上げられるようになり、7日で立って歩けるようになったのだから、これを奇跡だの、神の御力だのと言いだしたくもなる。

倒れていた傍らにあった槍。これに施されている意匠は南の国の崇める鳥の象徴であると博識な武器鑑定人に教えてもらった。



焔の鳥に頼まれた「お使い」に行こうと思い立ったのが8日目の朝。


この国は諸島の集まりで構成されており、中央に首都と言えるくらいの大きさの島がある。そこが中心となり、東西南北と四方に中小規模の島で生産業などを賄っている。

東西南北の島へ行くには中心へまず船で行き、また行きたい方向の船へ乗り換えて渡る。

そんな手間がかかる国、「カムナギ」。今現在いる国だ。

しかも乗り過ごしたら半年や1年は待つ。遅いときは5年以上かかる。遅くなるのは旅客船のグレードや船自体などを選んだ場合によく起こるが。

降り過ごしたら、降り過ごしたところから発覚したところまで乗りすぎた分だけ払わなければならない。即時支払いができない場合は船内清掃などの雑務を運賃分働くことで支払い、ということにもなる。手持ちの少ない貧民層の人たちが金銭の代わりに船内で働く、というのもすくなくもない。

船の手伝い以外でも金銭を払わずに乗る人もいた。地球では冒険者とよく名乗るものらしいが、この世界ではとある戦闘民族が同乗していた。


それは何故かと言うと、この内海にはあまりあることではないがエネミーが存在するのだ。

陸、空、海など、至る所に野生のエネミーが生息しており、それを狩ることを生業とし生きている戦闘民族「グロン」だ。その種の大半は深樹海や山奥などあまり他の種族と交流が無い。だが、それだけでは食っていく分が補えないので少数が出稼ぎついでに船守りをしている。



島の外に出たいと村長に話したら、数日前に来た貨物船の準備が3日ほどかかるからそれに合わせて乗せてもらうといい。と話した。船長は自分から乗せてほしいと言う者しか乗せないらしいので、交渉に行くことにする。



交渉の為に貨物船船長の泊まっている宿の近くに来たはずなのだが、筋骨隆々のマッチョに見つかった途端、追われて囲まれて応接室にあれよあれよと連行された。


応接室に放り込まれ筋肉の籠に閉じ込められて数分。

船長と名乗る男が入ってきた。同時に筋肉の檻から脱すことができた。

「私は貨物船アカツキの船長のライデンという。村民たちからあなたの噂は少なからず耳にしているよ、レン・ヒエン殿。」

なんでもライデンさんは昔自分が初めて先導切ったに貨物船に友人とその友人を乗せてほしいとせがまれ乗せたことから、今のように船員以外は自分の目で見定めてから許可を出すか否か決めているとのこと。


ちなみに「レン・ヒエン」とは、真名にあたる「深沢一真」は伏せるように焔の鳥に言われ、付けてもらったもう一つの名前なのだ。


「そりゃ、大事な荷を大きな船で運ぶんだもんな。盗人や国外逃亡しようとする犯罪者を乗せるわけにもいかないからな。」

「解ってくれるか」

「そりゃ、まあな」

「なら、大丈夫そうだな。あなたはアカツキに同乗する許可を発行しておこう。」

入室時から厳しい顔だったものが、安心したような表情になった。


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