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聖4

「穴がふさがってるー!」

前日の夕方に、レンが見つけた穴が埋まっていた。

昨日は食事やら設営やらでろくに観察のできないまま日没となってしまったため、ケイは翌日の朝に調査しようと思っていたのだが、その対象自体綺麗サッパリなくなっていた。

半刻ほどして、アキラは起きて来たものの、何故か穴を見つけた本人であるレンが起きてこない。

ただ、

「少しほっといてやったら?」

とミオが言ってきた。

「何故だ?」

「昨晩、なにか大気が震えてると思ったら、あの穴が明るかったの。まるで、昼間のような明るさだったわ」

中は細い道が長かったので奥までいっただろうレンの姿は見れなかったらしい。

「何があったのだろうか」


その事は数分後に起きてきた本人に聴き質すことができた。



レンは昨晩あったことをかいつまんで、説明した。

一部省いた事は、アキラも知らない、「ホーリー」との戦闘と契約のことだ。

「そんなことがあったなんて…」

驚いているタイガ、なにかに納得するミオ、明らかに落ち込んでいるケイ。アキラは怪我の介抱をしているときに概要を話しておいたのでそれほど驚いたと言う様子はない。

そして、タイガは荒い草の繊維でできた紙に何やら書き込んでいた。


「「東」の実家に着いたら本を書いてみようと思うんだ」

今回の旅のこと、そしてレンとアキラに会ってからのことを本にまとめ、出版しようと考えているらしい。

「文才なんてないくせによく言うよ」

立ち上がるタイガに2人は呆れ顔だったが、どこか優しい視線を送っていた。



…ふと、夢を見た、気がする。

「する」というのは、記憶がおぼろげだったから。

何故か、何所か、囲まれて、圧殺されそうに息苦しい。

これが夢ならば、手にあるはずのない、槍がある。

振りかざした槍で影を薙ぎ倒す。

殲滅、というよりも制圧しようとしている感じがある。

「こちらが」だが。


その夢を断片的に覚えていた。

正直恐怖だった。

そんな夢を見たのはおそらく、寝る直前でウサギと対戦「物理」をしたからであろう。


…そうあってくれ。



その後は順調に歩を進め、ようやく「東」と呼ばれる街に到着した。


実に8日。早すぎだ。「南」を先発した馬車よりも早く着いたので、馬車に乗っていた客に驚かれていた。

理由は、街道に出てきたエネミーの処理速度の違いだろう。こちらは出現次第片っ端から叩いていたら、途中から滅多に出てこなくなっていた。馬車の方は襲ってくる奴らのみしか撃破していないため、舐められたのだと思う。

というかまた海と同じようになってないか?

そんなことは些末なことであった。

3人は目的である「東」にある実家に予定通り帰還すると言う。

つまり、パーティは解散という事になった。

去り際に、

「本を出したら、読んでください!」

とタイガに言われたので、楽しみにしておくと言っておいた。



アキラは東に住む部族のもとへ行ったので再び一人になった。

宿を取り、一息つく。

この入口の街から東の大陸に行く船のある港へは徒歩3日くらいの位置にあると、酒場にいた漁師に聞いた。

日の出とともに早速言ってみようと思う。


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