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集落3

そういう事で広場の中央を探す。

なんでも中央に近ければ近い程、全体に均等に行き渡り易くなるんだとか。


そして、浄化には槍があった方がいいだろうと、持ってくることに。

3人はこれからやることに気付かないまま朝を迎えるのかもしれないな、などと思いつつ、静かに槍を取り広場に戻る。


戻るとすべてそろったのか、アキラが先に戻り、呪術のための陣を書いていた。

大掛かりになればなるほど必要な触媒たる物質は多くなるし、使用者の人数も必要になるし、一人単位の身体的肉体的負担もかかるし、負担軽減と作用と目的を描く陣の大きさも大きくなってしまう。

今回は俺一人が呪術使用者な為、どれだけの負担がかかるかは計り知れない。

鳥が決めてしまった以上やりきるしかないが、正直、やりきれるかどうか不安になる。


陣の最後である、「全てを繋ぐ」という意味の、陣に使用してある言語の古代文字をアキラが書き込み、外周の円を結ぶ。

すると、円の中心に立たされていた俺の頭の中に古代文字が浮かび上がる。

ゾッとするような感覚になったが、両手で槍をしっかりつかみ、足がすくむのを抑えた。

詠唱を始める前に、「変身」の一言もかけていないのに、あの鎧の姿になった。

確かに、力を込めたのだが、こうも簡単にこの姿になっていいものか。

だがそんなこと言う悠長な時間は無かった。

「センシ」の姿になったことによって、脳内に留まっていた古代言語が流れ始めたのだ。

慌てて追いかけて詠み始める。

俺の周囲には、陣の円でつながれた水の入った入れ物から蛍のような淡い光の粒が漂い始めた。

詠唱しているため視界の端の方でしかとらえていなかったが、アキラも驚いているようだった。


後に聞いたのだが、アキラの住んでいた氏族は一晩で3分の一ほどまで滅んでしまった過去があるらしく、幼いころから「浄化」の陣を書かされており、書くことは慣れていたものの使用している所は初めて見たとのことだ。


詠唱を始め2分くらいに差し掛かるころ、広場の見える位置にある建物の陰から青白いものたちが見え始めた。これは霊と化した人たちで、陣と水と俺の周りに集まり始めた。

アキラは、広場は見えるが霊たちに干渉しないような位置に移動していた。


ある節の箇所の詠唱に差し掛かると霊たちがざわめきだした。

周りの光の粒も眩しくなってきたくらいだ。3人が目を覚まさないことを祈る。


「喋れる!?」

「本当だ!」

「どうなっているんだ」


さらに詠唱が進むと喋れるようになったのか、村人全員が喋りはじめた。

「いきなり襲ってきたもんな、そりゃ死んだことがわからないな」

「何納得しているのよ、馬鹿!」

「ああ、あの道具作りかけだったのに…」

「落ち込むなよう、オレだってなぁ」

肉体が無いため叩いたりしても通過するだけだが、生前の癖なのだろうな。

「そうだ!」

といって叫ぶ若者がいた。


丁度詠唱が終わった、というよりも一区切りといった方が正しいのだろうが、話を聞いてみることにした。アキラも聞こうという顔をしていた。


「この集落は何でこんな状況になったんですか?」

いきなり、話しかけたのだから、全員に驚かれた。

「なんで話が通じるんだ」

「聞いてくださいよ、育て途中だった木が全部エネミーに喰われちまったんだよ!あいつらめ」

若干恨み言が混じっていたが、

「エネミーに襲われた?」

ここの集落と外との境目にはちゃんとしたエネミー除けの術が掛けられていたのだが、効果を発揮できなかったのか。

その答えは直ぐに返ってきた。

「上級である個体と、その個体を従える魔神級がいたんだよ」

「そうそう。上級や、それ以上は低級や中級の呪術なんてものともしない個体もいるんだ」

「付近は低級のエネミーしか出てこなかったから、ここの術はそいつらに対して組まれた術だったからね」

「あー、あいつらのこと思い出したら無性に腹が立ってきた」

「いまどこに行ったんだろうね。ここにいないみたいだし」

「え!?」


今もまだそんな危なっかしいエネミーがどこかにいるってのか。

「どんな特徴だったか覚えているか?」

「どんなって、そりゃぁ」

「まさしく伝承に伝わる様な「魔神」!って感じよ」

「見てみたら一発でわかるよ」

「真っ黒っていうのは見たみんなの共通の特徴だね」

「全身夜の空みたいな黒色で、その人の怖いものやなにかの形をとっているみたいなの」

詳しいことは分からないことがよくわかった。


それで、今現在進行形で皆さんが浄化できるようにしていることを言うと、いかに後残りがあることか。

そこで大半を占めていたのが魔神に倒れたことで、自分らが悪霊になり少し離れたところにある同規模の村を襲わないかと、襲った魔人が襲いに行っていないかということだった。その村とは友好的な関係を気付いていたので、もし困ったらお互い助け合っていた過去があるため心配しているとも。


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