偽り。
学校の門を出て俺はすぐに翔太に言った。
「なぁ!チーズバーガー食いたくね?今日100円らしいぜ!食いたいよな?奢るから行かない?」
「うーん。」
俺はとにかく翔太になんかしたかった。
なんでも良かったし別にチーズバーガーが食いたいか食いたくないか、翔太の意見はどっちでも良かった、ただ翔太になんかしないと落ち着かなかった。
「でもさ、正夫…
それは違うんじゃねー?」
「そーかな?俺は翔太にチーズバーガー奢りたい気分なんだよ…」
「そーか?なんか違わねーか?」
違う…かな?…。
俺…お前に感謝し…
「違う!違いすぎる!
チーズバーガー100円だろ??お前、朝俺の100円でジュース買ったよな?だからそれは奢りじゃねーよな?」
俺は本当にその事を忘れていた。
「あ!!…。
ポテトセットで!」
俺がそう言うと翔太は爆笑してガッツポーズをとった。
「うぃー!行くか!」
店に着くとなんか目線を感じた。
その先に目をやると、妹の優美とその親友の実香が居た。
「オッピー!」
実香がそう呼んだ。
「おい、そのあだ名やめろよ!」
昔から優美と実香にはいじられるんだ。
妹にも妹の親友にもいじられて、なんなんだよ!俺!
翔太もいる事だし早く帰れよ。
そう思っていた。
「じゃーね。」
優美と実香が店を出た。
良かった。
俺はとりあえずチーズバーガーセットと単品のチーズバーガーを注文した。
席に着くと、翔太がそろそろみないな顔をしてこう言った。
「で?。
どーすんの?ゲーム。買ってないんだろ?」
「うん。」
「大体さ、ゲームを盗んだ金で買った方が恥ずかしいだろ?なんで学費くすねたなんて言うんだよ」
「や、学費普通に払えない方が恥ずかしいよ。お前には分からないかもしれないけどさ。」
俺がそう言うと翔太はちょっと申し訳無さそうな顔をした。
「とりあえず食うぞ」
俺はチーズバーガーを食いながらポテトに手を伸ばした。
「ちょ!正夫!それは俺のポテトだから!」
翔太も慌てて食いだした。
別に早食い勝負してる訳じゃないのに2人して急いで食っていた。
ごめんな。
翔太。
ありがとな。
環境のせいにして苛立ったり八つ当たりしたり嘘を重ねたり。
俺は何がしたいんだかよく自分でも分かんねーんだ。
この時の俺は、嘘に嘘を重ねても、誰かを犠牲にしても、自分が誰よりも不幸でかわいそうだと、そう思っていた。