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第三章 十


 幸いにも壺の部屋には大量の薬草が保管されていて、直ぐにでも薬を調合できる状態だった。


僕は意識の戻らないオルヒアさんを、急いで治療して貰わないと、と焦りながらも何とか寝室へ運び込んだ。


(僕は自分があんなにひ弱だと思ってもみなかった。オルヒアさんには申し訳ないがココまで運ぶ途中に二回も転んでいる。ルルディはあんなに軽いから女の子はみんなそうなのかと思っていたが、身長があるせいか意外にアレ過ぎて腰が爆発するかと思った)


「まず服をヌがせる」


何かの書をめくりながら彼女らしからぬ真剣な表情で命令する


「……え? そっそれはルルディがやることじゃ……」


「ロバロもケガしてる。薬はたくさんヒツヨウ。それにオルヒア重い。私一人ではムリ」


オルヒアさんには本っ当に申し訳ないが、僕でさえ腰が爆砕すると思う程だったのだからルルディ一人では絶対ムリだ。


しっしかし、服を脱がせるなんて……


オルヒアさんは寝ワラの上に寝かせてあるが、苦しそうな呼吸を繰り返し、玉のような汗をびっしょりかいている。羽織や道着は血で染まっていて、どこから出血しているのか分からない。


「ハイドラ」


 ルルディは落ち着きを払い、何かを決意したのか、見たことのない顔つきに変わっていた。


「オルヒアは私とロバロを助けてくれた。今度は私の番。私が必ず助ける」


 寝室は薄暗い。


 油による灯りを用意できたものの、あまり量が多くないため大切に使わなくてはならない。


(オルヒアはおこるより、泣くとおもう。いちおう目隠し)という助言に従って最低限の"見てない"というところで許してもらおうと、姑息な方法を取ることにした。


 だ、ダイジョウブだ。コレは生死を分ける状態かも知れないんだ。オルヒアさんもきっと分かってくれる。


よよよし、じゃじゃあ始めるぞ。


 ……ん〜これは手だな、思ったよりずっと小さい手をしてるなあ。


「ハイドラ。オチツケ、それは私の手だ」


「わわわかってるって。ちょっと確認しただけだよ」


「まずオビを解いて袴をヌがせる」


ルルディは病人怪我人の相手をしていた事があるのだろう。妙に落ち着いてて、僕みたいな動揺など微塵も感じられない。


 コレを解けばいいのか?固く縛られているなあ。

 左右に身体を転がしたり、手を入れたりして何とか帯を解くことができた。


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