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序章 弐


 冗談じゃないよバアちゃん。今さら母親なんて。


 あいつは親娘の情なんて言葉が、最も似合わない女じゃないか。


 覚えている事といえば叱責に叱咤に体罰、不機嫌づら以外見た事がない。


「アタシの娘なら出来て当然」が口癖


 挙句に私をバアちゃんに押し付けて出て行ってしまった。


 それ以来私は人と接するのが怖くて、友達はおろか顔見知りとまともに会話する事さえままならないクズ人間になってしまった。


 そんな不倶戴天の敵、母親を探せとは無理難題すぎるでしょ。


 相変わらず腕の痛みは続き、小さな掌は日に日にその力を失っていく。


 しかしここでは、剥き出しの岩群と枯れた草原が続く荒涼無比な大地にしがみついて、生きていく道しか知らない。今日も痩せた土地をさまよって薬草を詰み、明日のために備える生活は変えようがない。


時折吹く陣風は、小高い丘に建つ薬師本殿の屋根をギシギシと鳴らし、毒々しく立ち並ぶ雑草に波を起こす。


本殿が倒れたら、この小屋だけになってしまう。そんな事になってしまったら薬師としての自分の居場所を奪われてしまう気がする。バアちゃんが死ぬ前に薬師本殿の建て方を聴いておくんだった。


格子窓の外からは毛長牛のロバロが地面を蹴りつけ、朝食の催促をする音が聞こえていた。



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