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序章 壱


 ゆっくりと包帯を巻く手を止め、改めて赤黒く変色した異形の右腕を眺めた。


 人の肌というよりは浸食された岩という表現がしっくり来る。血の気も温かみも感じず、動かす度に生命のカスがぱらぱらと地に降り積もる。


 肘から肩にかけても紅い斑点が立体感を増しつつあり、首を超える頃には再び岩蝕の肌が隆起し、頬へと至る。


 爪の変色から始まった悪夢は、既に二年になる。これがバアちゃんの予言した呪いだと気付いた時は手首にまで侵食が及んでいた。


『心優しき者はそれゆえ短命。ワシら薬師の間ではそれは〝呪い〝と呼んでおる』


 囲炉裏のやわらかい灯し火は、粗末な小屋には不似合いな一面本の壁をゆらゆらと照らしていた。


 闇に浮かぶ醜悪な皮膚は、確かに呪いと呼ぶに相応しい。


 薬液に浸した包帯を再び巻き始める。


『ルルディ、もしそうなったらウーヴァを探のじゃ。稀代の天才薬師と言われたお前の母なら、その呪いもなんとかできよう』



初長編です。

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