自己紹介 〜本当は2番目だけど『その1』〜
「おや、おかえり」
「すみません、ツッコミたい衝動を抑えるのに少し時間がかかってしまいました」
そう言ってぺこりと頭を下げました。着物の人も「そうだろうね」とでも言いたげな表情で頷いています。
「言いたいことは山々だろうけど、君のことをみんなに紹介するね。こちら新しい入居者の」
「今日からお世話になる『よべ ももはる』です。五十に部活の部、百に春で『五十部 百春』です。『ごじゅうぶ』でも『いそべ』でもなく、五十部です」
ついに明かされましたね!第4話にしてようやく主人公の名前のお披露目です。それにしても、名前の紹介だけで3行使うとは、さぞ読み方を間違えられてきたんでしょうね。
「あの〜五十部さん五十部さん」
鍔広のとんがり帽をかぶった少女が、五十部くんのスプリングコートの裾を引っ張っています。
「さっき言っていた『全員』の中に、わたしは含まれていませんよね?」
「管理人さん以外、全員だよ」
生温かい微笑みと共に返ってきた答えに、少女は愕然としています。まるで、答案用紙に名前を書き忘れて0点だと宣告された学生のような顔です。実際には答案用紙の並びから誰のテストか分かるので、0点というのは冗談で点数をちゃんとつけてくれるものなんですけどね。
そこへトレーを片手に管理人さんと呼ばれた着物の男性がやって来ました。
「まぁ詳しい話は食べながらにしよう。五十部くんは朝食まだでしょ?」
ちなみに、作者は中学1年生の1学期中間テストの国語で名前無記入のため0点を貰ったという悲しい過去があります。
後から返された成績表には、ちゃんと40数点と書かれていましたが。
……50点満点ですよ!わたくしの実家の県の中学校は当時50点満点だったんです、本当です信じてくださぁぁい!