誰のせい?
店内にはテーブルで朝食を取っている3人と他2人、男女合わせて5人います。
「入居予定の男性の退室を確認」
クリムゾンは店内も木製で、床も壁も外壁のように真っ黒ではなく焦がしたカラメルみたいな濃い褐色です。
「何かに驚いていたように見えたが……」
店内はそれほど広くはなく、カウンターには座れて数人ほど。テーブルもありますが、4人掛けのものが3卓だけです。飾り程度の観葉植物はありますが、全体的にあまり飾り気のない内装です。
「きっと、亜久津さんの格好が衝撃だったんですよ」
「えぇ!そうなのかなぁ……」
少女に名指しされた男性は自分の服装を確認します。
「いやいや〜僕じゃないでしょ。きっとモーリャさんの武器を見て驚いたんだよ」
「私のか?」
ボサボサ頭でジャージ姿の女性は、傍らに立てかけてある大剣の鞘をそっと撫でました。
「魔剣を持ち歩かないなぞ、たるんでいる証だ。それにあいつの行動は、体にコードを生やした者を見たことが原因と見て間違いなかろう」
「それはティータのことデスカ?」
みんながテーブルについている中、1人で壁際の椅子に座っている女性が小首を傾げています。
「正確に表現するならコードが生えているのではなく、コネクタを差し込んでいるだけデス。お話を戻すと、彼の眼球の動きからマツリさんの方を見て扉を閉めたと推測されマス」
「わ、わたしですか!? これでも身だしなみには気をつけてるんですよ。今日の帽子だって、最近のトレンドを取り入れて今までのより鍔を広めにしてみたんですから」
少女は自慢気に帽子の縁をつまんでみせました。
そんなどんぐりの背比べを着物の男性は大人しく聞いています。いえ、よく見ると笑いをこらえているみたいです。
「あのね君たち……」
「全員ですよ」
再び開いた扉から顔を出した我らが主人公が、やや呆れ気味に言いました。
今回から本格的に公開です。
読んでいただいた方、ありがとうございます。
……いるのかな?