茉莉ちゃんと生け贄
「ど、どうしてこんなことに……」
「愛憎のもつれデスネ」
「ティータくん、そんな言葉どこで覚えたんだい?」
「ライラさんと一緒に見ている正午過ぎのドラマで聞きマシタ」
「あ〜、それなら僕も職場の昼休みに見てるよ。主役の後輩役の女優さんが美人だよね」
半泣きの茉莉ちゃんとテーブルに突っ伏す五十部くんを囲んで皆さん好き勝手に喋っています。それよりどなたか五十部くんの心配もしてください。
……反応がありません。ただのしかば
「まさか日に2度も叩かれることになるとは思わなかった」
あ、生きていました。
「本当にごめんなさい! なんで効かなかったんだろう……」
茉莉ちゃんは五十部くんが外したミサンガを凝視したり、光に透かして見たりしながら念入りに調べ直しています。
「効力が弱いな」
「さすがモーリャくん、よく分かったね」
「前に安物の退魔符を掴まされてエラい目にあって以来、防具選びには気を使うようになったからな」
普段あまり感情を表に出さないライラさんが、虚ろな目でため息をついています。一体なにがあったんでしょうか。天の声、気になります。
「お師匠はちゃんとチャームを『作る』って言っていたのに……わたし、まだまだ魔女っ子かもしれません」
「誰にでも失敗はあるものさ。大切なのは失敗から学び、次へ活かすことだ」
「お師匠……わたし頑張ります!」
「晶さん、今朝こうなるって分かってて放置しましたね?」
なるほど、朝食のときに晶さんが言いかけて止めたことって、このことだったんですね。
「人が成長するためには、生け贄……もとい踏み台が必要なのだよ」
「どっちもイヤです。っていうか、少しは悪びれてください!」
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。




