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占いと おもてなしには 裏がある  作者: 楠たすく
紅(クリムゾン)には裏がある
2/27

喫茶店クリムゾン

 自己紹介って主人公のことじゃないのかよ、なんてブーイングが聞こえてきそうです。


 あ、そもそもそんなに大人数に読まれてな……え、メタい発言は控えろ?はいスミマセン。


 こほん。いま彼が向かっているのは、この住宅地の外れにある一軒の喫茶店です。店の名前は『クリムゾン』。


 四、五台分ほどの駐車場の先には二階建てのログハウスが建っています。外壁は真っ黒な木製です。昔焼けてしまった、というわけではない……はずです、多分、きっと。玄関横に植えてある木にはちゃんと緑の葉がついているし、炭じゃなくてお洒落なんです……恐らく、メイビー。


 彼はクリムゾンの裏口の方に回ると、そこにあったインターホンに手を伸ばしました。


「はいはい、どちら様?」


「あの、今日からお世話になる」


「あぁごめん、そっちの鍵まだ開けてなかったよ。お店の方に回ってくれるかい?」


 そう言うと、インターホンはすぐに切れてしまいました。丁寧口調のわりにごりごりマイペースな対応です。


 名乗るチャンスを潰されてしまった哀れな主人公は、再びキャリーバッグを手に喫茶店の入り口の方へ回っていきました。


「おはようございます!」


 喫茶店の戸を開けるのと同時に、きっかり45度に頭を下げつつよく通る声で挨拶しました。


「いらっしゃい、待ってたよ」


 そう言ったのは濃紺の着物姿の男性でした。この声はさっきのインターホンの人です。そこまでお年を召しているようには見えませんが、落ち着いた雰囲気を醸し出しているナイスミドルです。


「はじめまして、よ……」


 彼は頭を上げて自己紹介しようとしたのですが、何を思ったのかスッと一歩下がると静かに扉を閉めてしまいました。


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