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150日の少年

作者: シア猫。

私が高校2年生の秋頃の話だ。


私は高校テニス部に所属し、3年の春に行われるインターハイのための追い込み期間に、少し早めだが入っていた。

毎日毎日、夜遅くまでテニスコートで練習して、真っ暗と化した町の中を自転車で帰宅しようとすると、その途中道である光景を目撃した。

そこには丸坊主という、いかにも野球部らしい少年が、バットを振り続けていた。自転車で走っていた私の視界には、それは一瞬の光景としてしか残らなかった。

そして次の日、また次の日と、私はその少年が素振りをしているのを見ながら、そのすぐ横を通り過ぎた。

ある日、その少年は学校名が書かれたジャージを着て素振りをしていた。見るとそこには地元中学の名前が書かれていた。私は初めて、この少年が年下であることがわかった。


そしてさらに時は経ち3月。朝、私が登校するために、またその道を通った時だった。

そこには、胸にピンク色の花を刺した学ランを着て、おそらく少年の母親であろう女性と家の前で写真を撮っていた。母親と思しき女性は綺麗な服装をして、カメラを向けている男性、おそらく少年の父親もスーツに身を包んでいた。

その一瞬の光景を見た私は今日、少年が中学を卒業するのだと察した。


「卒業おめでとう…」


私は誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。名前も知らない少年が、どこかの高校に進学して野球部に入るのかと思うと、何故だか嬉しくなってきた。


そして4月。始業式や入学式が終わり、新学期初の授業日に、綺麗な桜の木で彩られた通学路を、高校3年生になった私は走っていた。

そして少年の家の前に差し掛かると、その家からは私と同じ学校の制服を着た少年が出てきて、自転車にまたがった。


そうか…。うちに入学したのか…。


「高校入学おめでとう…」


私は自分でも知らないうちに、そう呟いていた。


私の高校の野球部は強化指定部になっており、県屈指の成績だった。その少年は、そんな学校の野球部に入ったのだろう。

友達にも野球部がいるから、私は野球部が競争が激しいことを知っていた。


でも、少年ならきっと競争に勝てるだろう。だって、毎日夜遅くまで素振りしてたのを、私は知ってるのだから。

この作品は実話です。千文字にも足らない短い文章ですが読んで頂き光栄です。

結局この少年はこの後どうなったのかわかりません。この後、私はテニス部を引退し家に帰る時間が早くなってしまい、夜遅くに素振りをする少年を見ることはなくなりました。


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