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能力

 仮面。それは作った人間の魂が宿ると言われているものである。

 その想いは、人の手を渡る回数が増えていくほどに薄れていき、終いにはただの仮面へと成り下がっていく。しかしそういった人の手を渡る回数が少ないもの、つまり作った直後から誰にも触れられずにいたものには、不思議な力が込められていると言われている。

 本来仮面というものは、顔を隠す以外にも、仮面をかぶって、モチーフとなったものに成りきるという使い方もあるとされている。天狗の面をつけた修行僧が、山を縦横無尽に駆け回っていたという伝説もそうだ。 『化面』と書くこともでき、面をつけて成りきることによって、それから力を得たり、憑依されやすくしているとの言い伝えもある。

 そしてグランマと呼ばれている女性から仮面を受け取った少年少女たちも、先の事件を仮面から得た力を使って未然に防ぐことができたのである。



「ふあぁ……」


 悠真は、学校の自分の席で机に頬杖を付きながら、大きなあくびをしていた。

 悠真は、先の事件で、ピエロの面をつけていた。『ピエロ』の面には、道化師さながらのわざとらしい演技のあとに、チートめいた事ができるようになるという力がある。その代わりに何も喋れなくなってしまうという弊害もある。そのわざとらしい演技も制約の一つである。弾丸を消したのも、ポケットから銃を取り出したのも、全て仮面の力である。


「アハハ! でさ、あの時さぁ」


 そしてそこから少し離れた位置で、友達と楽しく会話をしている琴音。

 琴音は、蜘蛛の面。『蜘蛛』は、指先から糸を出すことができ、その糸を自由自在に操ることができる。強度から粘着性など、一本一本の糸に意思があるように動かせる。しかし指の数しか出すことができないという制約がある。男の身体の動きを止めたのは、この『蜘蛛』の力である。


ペラペラ。ペラペラ。


 その下の階、一つ学年が下の一年生のクラスで、席について静かに本を読んでいる雪乃。

 雪乃は、うさぎの面を。『うさぎ』は、跳躍力の強化である。これといって制約がなく、常人の三倍ほどの跳躍力を得ることができるというだけであるが、雪乃が今読んでいる文庫本の主人公が得意とする『ムーンサルト殺法』を繰り出したいがために選んだ面である。

 そしてそんな雪乃を隣の席でボーっと見ている奏太。

 奏太は、阿修羅の面。『阿修羅』は、常人からかけ離れた戦闘力を得ることができる。パワーとスピード、近接戦闘に向いた力だ。しかし、その力を得ることができるのは、片足が宙に浮いている時のみである。先の事件では、回転力を利用した裏拳で男を一人ぶっ飛ばした。


 そんな仮面の力だが、このように事件解決に使えば『正義』の力に。悪事に使えば『悪』の力へと変わることになる。

 『阿修羅』の力は国家機関をぶっ飛ばし、『蜘蛛』の力は動くものの動きを止め、『うさぎ』の力で阻むものを飛び越え、『ピエロ』の力で意表を付く行動ができる。

 全ては使う人間次第である。

 この仮面をつけて夜な夜な巻き起こる事件を未然に食い止める少年少女たちだが、こうして昼間は学生として勉学に励んでいる普通の学生だ。しかしグランマからの指令が下ると、仮面をつけて『正義』としてのお仕事に励むこととなる。それが家賃であり、彼らの生きる原動力でもある。

 このくらいの年頃というのは、こうした『力』というものに憧れやすいものである。その欲望を叶えることができるのが、この『仮面』である。



そして、そんな仮面の力を使いこなすことができるのが、この四人の少年少女たちなのである。

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