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アニキがハンドガンから弾を打ち出した直後、三人とアニキの間にピエロの面を付けた人物が横から割り込んできた。

ピエロ面の人物は、ものすごく早い速度で打ち出された弾丸を、その弾道が見えているかのように両手で手を叩くようにして止めた。真剣白刃取りならぬ、真銃白弾取りといったところだろうか。読み方は任せます。

そしてピエロ面の人物は、アニキに向かってその手を開き、何もなかったかのように手をクルクルと回し、銃弾がどこにもないことをアピールした。


「なっ……銃弾はどこに消えた? いや、それよりも、素手で止めた?」


ピエロ面の人物がおどけた調子の面のまま一言も喋らないので、アニキは他の三人とは違うものを感じた。

銃弾がないことがわかってもらえたのを確認したピエロ面は、次にポケットの中に手を突っ込んで、何やらゴソゴソとし始めた。アニキから見ると、動作一つ一つがわざとらしくて演技臭い。まさにピエロの大道芸を見ているようだった。

何かを見つけたらしいピエロ面が取り出したものは、アニキが持っているものとは違うリボルバータイプのハンドガンだった。

その銃身をアニキのほうへゆっくりと向ける。


「お、おい、よせ……子どもが銃を撃つのは良くない」


見た目から、周りの少年少女と体格が似ているということもあって、アニキはピエロ面を子どもだと判断した。しかしそれだけだ。

ピエロ面は、アニキに返答する代わりにジェスチャーで返した。

『先に撃ってきたのはそっち。こっちから撃って何がダメなのか?』というニュアンスのジェスチャーだった。


「くっ……お、お前ら、なんなんだ! あまり大人を甘く見るなよ!」


そうアニキが言った。

それを言い終わった時には、ピエロ面を中心として、阿修羅面、蜘蛛面、うさぎ面が横一列に並んでアニキを見ていた。

アニキは、自分よりも低い位置から見られているはずなのに、なぜか見下ろされているような感覚に陥っていた。きっと自分よりも断然強いのだろう。ここで反撃しても勝てる見込みはないのだろう。そんなことを考えていた。


「悪者に負けないのが俺たちだ」

「強盗とかダサくない? 今時流行んないよー」

「悪は、私が裁く」


それぞれがそう言うと、最後にピエロ面が言葉の代わりにリボルバーの引き金を親指で倒した。


「おい、ヤメろ。まさか本物じゃないよな?」

「ここにきて命乞い?」

「悪者は正義に命乞いはさせないのに、そっちからはするんだ。いい加減に覚悟決めなよ」


うさぎ面と蜘蛛面がそれぞれ言い、最後に阿修羅面が付け加える。


「仲間の三人ももう地獄行きだ。あんたもそれに続くんだな」


言い終わると同時にピエロ面が引き金を引いた。

銃から飛び出した弾丸は、真っ直ぐにアニキの額へと飛んでいき、見事に頭部を打ち抜いた。

アニキの意識は、頭部に走る激痛とともにここで途切れた。





『本日のニュースです。深夜一時、五丁目の交差点にある宝石店『ジュエリー高田』にて四人組の強盗が押し入りました。しかし強盗は何も盗まずに、事務所にて気絶しており、リーダー格と見られる男の証言によると「強盗に入ったのだが、変な面をつけた子どもに殺された」などと意味不明な供述を繰り返しており、警察では事情聴取を続けるとのこと。また、近くに止めてあった黒塗りのバンから、強盗の仲間とみられる男が運転席で寝ているところを、通報を受けた警察官が事情聴取。車の中を確認したところ、四人の強盗の持ち物と見られるものが発見されたため、そのバンの男を現行犯逮捕。そして仲間と見て、そちらの事情聴取も続けていくとのこと。本日のニュースは以上です。それでは次はお天気です。…………』




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