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VS強盗団

先の話で出ていた五丁目の電信柱の近く。

なにやら四つの不審な影がこれから行われる計画の最終確認をしていた。

その人影は、全員同じ黒の目出し帽をかぶっていた。


「いいか。あの宝石店に入るだろ。そしたら?」

「俺が店員を脅してショーケースの鍵を奪う」

「その間に俺が警報器へと先回りして通報を阻止」

「そして俺とアニキが宝石の回収」

「正解だ。全員頭に叩き込んだな。他の細かいことはシュミレーション通りに進めろ。いいな」

「「「了解だぜ」」」


最後に拳を突き合わせると、近くに待機させている黒塗りのバンへと合図をした。返事のブレーキランプを確認後、四つの人影は宝石店の裏口へと回り込んだ。

一人がドアの前にしゃがみこんでピッキングを始めた。これは以前から同じタイプの鍵穴での練習を積み重ねたおかげもあって、一分もかからずに開錠となった。

音を立てないように扉を開けると、静かに奥へと進む。目指すは金庫があり、この時間にまだ作業をしている店主がいるとされている事務所だった。

そしてついに『事務所』と書かれたドアの前にたどり着いた。

四人はリーダー格の『アニキ』と呼ばれた男を中心に目を合わせ、計画通りに済ませることを誓い合う。

そしてアニキがドアノブを勢いよく開けるのと同時に、前もって調べておいた事務所の形を思い出しながら突入する。事務所に入るとすぐにカウンターがあり、そのカウンターの奥に来客用のソファや宝石か売上金を入れるためかの金庫がある。店主は毎日来客用のソファに座ってのんびりと金銭の計算をしているとのこと。その情報を思い出しながらの突入。

しかし。

ドアを開けてみると、ソファのそばにいるはずの店主はどこにもおらず、一番に目に入ったのは、阿修羅のお面をつけた子どもだった。腕を組んで、肩幅に開いた足で仁王立ちをし、阿修羅の面の向こうからジッと強盗団の四人を見ていた。


「は?」


思わず声を出してしまったアニキにつられるかのように、店主から金庫の鍵を脅し取るつもりだった男が声を荒げて言う。


「だ、誰だテメェは!」

「誰だって言われても……阿修羅です」


阿修羅の面をつけたそいつは、お面でくぐもった声でそう言った。声の感じからして、自分たちよりもずっと若い少年だと強盗団は判断した。


「なんだなんだ? 子どもか?」

「良い子はもう寝てなきゃいけない時間じゃねぇか。さっさとおウチに帰りな」


阿修羅の面に驚いていた他の二人も、子どもとわかるやいなや、強気になって阿修羅の面の少年を取り囲んだ。それでも阿修羅面は動かない。リアルに作られた面は、異様な空気を醸し出しているが、子どもがつけているということもあってか、アニキを除く三人は完全に油断していた。今にも笑顔まで浮かび上がってきそうな顔をしていた。

そんな三人の気を引き締めるために、アニキは声をかけた。


「おい。ヘラヘラしてんじゃねぇぞ。さっさとつまみ出せ。邪魔だ」

「そうだよ。おっさん。あんたは正解だ」

「あん?」

「あんまし油断してると痛い目にあうぜ」


面の向こうでニヤリと笑ったのが分かった。アニキは違和感を覚え、腰元のホルスターに意識を向けた。そこにはハンドガンが一丁収められているのを、触れている感覚で確認するためだった。


と、その瞬間だった。


つまみ出そうと最初に話しかけた男が腕を伸ばしたその時、突然ふっ飛んだのだ。

派手に金庫にぶつかり、床に崩れ落ちた。


「知ってるか? 阿修羅ってのは、戦闘神とも呼ばれてるんだぜ?」



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